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若年層に広がる雇用への不安や不満がマムダニへの期待につながった Jonathan Fernandes/Sipa USA/REUTERS <富裕層への課税強化などを主張する「民主社会主義」候補の勝利は、米全体の政治情勢を揺さぶりかねない> アメリカで国政選挙のない今年、最も注目された地方選挙であるニューヨーク市長選が行われました。日本流に言えば「ゼロ打ち(開票率ゼロ時点での当選確実)」とまではなりませんでしたが、投票締切から約35分で当確が出たのは、民主党のゾーラン・マムダニ候補です。民主社会主義を自称、インド系ウガンダ人のイスラム教徒で、アメリカに来たのは7歳の時、帰化したのは2018年という移民一世として、34歳の若さでニューヨーク市長に当選しました。 マムダニ氏の政策は「富裕層への徹底的な課税」「市内における家賃の凍結」「食品スーパーの公営化と卸値での販売」「5歳までの託児所の無料化」
AIの有償化はYouTubeなど過去のプラットフォームとくらべるとかなり早い Nikolas Kokovlis/REUTERS <アメリカでは実際に、初級レベルの事務職やプログラマー職で人間とAIが「競合関係」に> 先週のコラムで、アメリカではAIが普及したことによって、急速に若者の雇用が危うくなっているという話をしたところ、「今はAIの利用は無償だから普及しているが、有償になったら雇用への影響は減るのでは?」という意見を多くいただきました。実はそうではないという話をしたいのですが、その前に、確かに、OpenAI社が提供するChatGPTを個人で利用する場合や、シリコンバレー各社がOSなどに組み込んでいるAIを個人が使う場合、無償でサービスが提供されているのは事実です。 過去の歴史を振り返ってみると、検索エンジンも、動画アップロード用のサイトも、発明当初かなりの期間は無償でした。例えばYo
<新卒者の失業率が異常に高い統計データに米社会が衝撃> アメリカの雇用統計が低迷しています。7月から8月にかけて新規雇用数も失業率も予想を下回っており、8月の失業率は4.3%まで悪化、この4年間で最悪となっています。コロナ禍後に回復した際の最低値3.5%(23年7月)と比較すると、悪化傾向は顕著です。 通常ですと、このような雇用の悪化はダイレクトに景気後退と直結します。また株価の低迷を伴うことになります。トランプ政権がFRB(連邦準備制度理事会)に対して強く利下げを要求しているのは、そうした景気後退や株価の下落を防止しようという意図であり、それならばアメリカの政権としては特に変わったことをしているとは言えません。ですが、実際のところは景気がスローダウンしているかどうかは、良く分かっていないのです。というのは、株価は史上最高値圏にあって安定しているからです。 雇用統計の中で、特に悪化している
総裁選出馬へ最初に名乗りを上げたのは茂木敏光前幹事長(9月10日) Kazuki Oishi/Sipa USA/REUTERS <保守・リベラルがともに抱える安全保障観のねじれは、今後の米政権によっては同盟関係の不安定要因になりかねない> 自民党の総裁選が進行中です。今回は単に自公政権がポスト石破を選ぶというだけでなく、もしかしたら野党から連立への新たな参加や、連立の組み替えを伴うかもしれません。仮の話ですが、そのような変化が起きるのであれば、今こそ、日本の安全保障における根本的な弱点、いわばアキレス腱について議論するタイミングだと思います。 まず、大きく分けて日本の安全保障論議には、一本の対立軸があります。前世紀的な言い方であれば「保守と革新」、現在の言い方であれば「保守とリベラル」ですが、その対立軸のあり方は変わっていません。 まず、保守の側ですが、実際の行動としては日米同盟を維持し強
「体験格差」で大学入試などで富裕層に有利に働くという指摘も(写真は中国・重慶の科学博物館) Oriental Image/REUTERS <大学入試の総合選抜などで富裕層に有利になるという指摘もあるが、もうそうだとしたらそれ自体が問題> ここ数年、「体験格差」という言葉を耳にすることが多くなりました。経済格差が広がるなかで、テーマパークやコンサートに行ったり、キャンプなどの自然体験をしたりする機会が、富裕層の子どもに限られるという問題がまずあります。こうした格差、経験の格差というのは確かに良いことではありません。公的な助成やスポンサーによる援助、あるいは一定の基準での価格の割引や無償化というような配慮があってもいいと思います。 ですが、「体験格差」が問題になるのは実はそれだけではありません。大学などの入試でペーパー試験の一発勝負が減り、体験履歴などを評価する総合選抜が増えるにつれて、どうし
ウクライナの博物館が展示しているソ連時代の核弾頭搭載可能ICBM Mykhaylo Palinchank/SOPA Images/REUTERS <単純な開発費・維持費に加えて、国際秩序を揺るがすことで経済制裁や外交リスクを抱え込むことになる> 核武装はコスパが良いのか悪いのかという問題が、7月の参院選で賛否両論になっていました。本当はこの種の議論というのは、もっと以前にやっておくべきでした。ですが、実際は、長い間、この種の議論自体がタブー視されていたので議論は十分に行われませんでした。タブー視したいという戦争体験世代の心情は理解できるものの、今となっては戦争を体験した世代とともにリアリズムの視点から議論をしておくことは必要だったように思います。 さて、この問題ですが直接的なコストの数字を出すのはそれほど難しくありません。核弾頭の開発費用については当初20兆円前後で、以降は維持費用として年
参院選の与党敗北を受けて石破首相は進退が問われている(写真は昨年10月の衆院選後の会見) Kim Kyung-Hoon/Pool/REUTERS <与党にノーは突き付けたが、政権交代を担う「責任野党」も出てこなかった> 参院選の結果は、選挙戦の終盤に様々な形で飛び交った予想よりは、自民党が善戦したと思います。ですが、結果的に与党の敗北、小党乱立という結果となったのは間違いありません。その結果として、3つの重たい事実が残りました。 1つは、外国人労働者の問題です。参政党が主張した「日本人ファースト」というのは、実は曖昧なスローガンであり具体性には乏しいものです。そうではあるのですが、漠然と社会に浸透していた「このまま外国人労働者が増えれば、日本社会が変わってしまう」という不安を票にすることに成功したと見ることができます。 さしあたって具体的な影響があるとは思えませんが、海外での報じられ方は意
動画拡散の根底にあるのは異文化を見下す視点 Arthur Perset, Hans Lucas-REUTERS <迷惑動画もその切り取り動画も、関心は周囲の無反応な日本人に向いている> 外国人インフルエンサーによる日本での迷惑行為が話題になっています。通勤電車内でダンスをしたり、スピーカーを持ち込んで大音量の音楽を流したりして、これを面白おかしい動画に仕立てて拡散するのです。最近では、渋谷のスクランブル交差点で青信号の間に交差点内でバク転をしたり、やりたい放題といった感じです。 一方で、この種の動画を切り抜いた形で、「迷惑です」とか「日本では禁止ですよ」「もう日本に来ちゃダメ」といったコメントの動画が英語でもアップされています。この種の注意喚起の動画も意外にバズっているようです。 この問題ですが、動画のネタを求めて行う行為が迷惑だから取り締まれ、という声が多いようですが、話はそんなに単純で
<問題の本質は、日本人の学生が人文系の博士課程に行かなくなったこと> 東京大学などで大学院博士課程に占める、中国など留学生の比率が問題になっています。一部の政治家が主張している内容によれば、東京大学では中国人留学生は2008年度の727人から徐々に増加し、昨年度は3396人と4倍以上になっているそうです。 また、奨学金の多くが留学生に渡っていることを問題視する声もあります。博士課程の学生に対して1人あたり最大で年間290万円を支給する制度(次世代研究者挑戦的研究プログラム「通称SPRING」)で受給を受けている人が昨年度では、全体で1万564人だったそうですが、その約4割の4125人が外国人留学生、また、その中の2904人を中国人留学生が占めていたそうです。 運営費の過半が税金によって成り立っている国公立大学の博士課程において、実際に学んでいるのが外国人学生ということになれば、確かに税金の
<党内左派と穏健派が予算審議で対立、秋のニューヨーク市長選では現職と前州知事が対決?> 5月初旬には第2次トランプ政権が発足100日を迎えます。慣例によって、「最初の100日」はメディアも野党も批判を控える傾向がありますが、この日を過ぎれば一気に反転攻勢に出るのが通例です。ところが、現在のところ野党である民主党にはその勢いがありません。 昨年11月の大統領選、上院選、下院選で敗北したショックから立ち直っていないということもありますが、それ以上に問題なのは党の内部に内紛を抱えていることです。その1つが民主党上院議員団の動向です。 民主党の議員団は、トランプ政権の人事などについては、不適格だと思うと反対するなど結束して行動してきました。ところが、この3月上旬に行われた予算審議では、割れてしまったのです。 下院のジョンソン議長(共和)が調停した妥協案が可決されるかどうかが、焦点となっていました。
<物価高の中の不況「スタグフレーション」という悪夢を市場はおそれ始めている> 就任以来のトランプ政権は、政府組織の急速なリストラに加えて、軍事外交政策の大転換を続けています。1期目と違って、司法省や裁判所を味方につける一方で、議会共和党に対しては「造反すれば刺客を送る」という脅しが効いているようで、抵抗を封じた上での攻勢というわけです。ここまでは、とにかくトランプ流の「変革」が怒濤のように進んでいるように見えます。 これに対して、野党の民主党には勢いが感じられず、トランプ政権には「向かうところ敵なし」という感じでした。とりあえず「最初の100日」の期間内は、各メディアも批判を控えていたということもあります。ところが、就任から2カ月になる前の、この3月中旬の状況としては、既に政権の勢いが「逆風」に晒されているのを感じます。 まず株価の動揺が始まっています。3月7日の金曜日までに既に市場は下降
<アメリカで販売されている日本産短粒米の価格は、日本のように高騰していない> 昨年の晩夏から、日本では急速にコメ不足が問題になってきています。その後、秋の収穫期を過ぎて不足は解消されましたが、依然として高値が続き、むしろ価格の上昇が止まりません。原因としては、 1、長年続いた減反政策を止めるタイミングが遅かった。 2、高齢化した農業従事者の大量廃業により耕作放棄が進んだ。 3、米作の大規模化、企業化などを実現する規制緩和が遅過ぎた。 という3つの問題による収穫量の低迷が主因だと考えられます。その上で、 4、食味の良いジャポニカ米(短粒米)の魅力が国際社会に「バレて」しまい、優良品が輸出に回るようになった 5、価格上昇のトレンドを読んだ投機筋による買い占めが起きている という問題が、さらに価格上昇を促していると見ていいでしょう。では、ここ数カ月の高騰は、輸出のせいなのかそれとも投機が原因なの
<不法移民摘発でトランプと悪魔のディールを結んだアダムス市長に民主党が激怒> ニューヨークの民主党に激震が走っています。こともあろうに民主党のエリック・アダムス市長が、トランプ大統領との間に「同盟」を結んで州や市の民主党を裏切ったのです。まず、アダムス市長は市内に設置されているトルコ共和国の領事館を移転する際に便宜を図る見返りに接待を受けたとして、外国人からの収賄の容疑がかかっていました。 窮地に陥っているアダムス市長に対してトランプ大統領は、市長がこれまでは拒んでいたニューヨーク市内における「不法移民摘発」へ協力すれば、収賄容疑の起訴を取り下げてもいいというオファーをしました。市長はこの条件を受諾して、トランプ氏との「同盟」を宣言したのです。いかにもトランプ流の「ディール」ですが、市内は大騒ぎとなっています。 特にニューヨークの民主党は、キャシー・ホークル知事も、州議会、市議会も一致団結
<猛スピードの「政府効率化」や多様性政策の見直しなどは、日本の現状とかけ離れている> 第2次トランプ政権の動向は、日本では高い関心をもって受け止められているようです。今回の石破茂首相の訪米にあたってもそうですが、トランプ式の保護主義や、国際平和へのコミットから離脱するかのような孤立主義は、日本をターゲットに発動されると影響が甚大になるわけで、警戒感と共に関心を向けるのには必然性があります。 その一方で、トランプ流の政治そのものに興味を向ける傾向もあるようです。特に政府効率化省(DOGE)が、政権発足から僅か3週間という短い期間に多くの組織と人員のリストラを進めているスピード感には、日本でも関心が高いようです。近年多く見られる日本の「納税者の反乱」とでもいうべき「都市型の小さな政府論」を掲げるグループには、共感の声を上げる動きが見られます。 こうしたトランプ流「小さな政府論」のスピード感に、
ネタニヤフ首相との会談後、ガザ領有の意向を表明したトランプ Kyle Mazza/NurPhoto/REUTERS <この最悪のタイミングでガザ難民受け入れを表明すれば、アラブ圏全体を敵に回すことになる> アメリカ現地時間の今週4日、イスラエルのネタニヤフ首相との首脳会談を終えたトランプ大統領は、突然、ガザ問題に関して提案を行いました。 「ガザはアメリカが長期領有する。領有にあたっては、必要に応じて米軍を投入する。占領の後、パレスチナ人は全員退去させ、その上で武器と瓦礫の除去を行う。ガザは『中東のリビエラ』つまりリゾート都市として再生させ、経済成長させる」 という驚愕の提案でした。直後から世界各国では、驚きとともに反対の声が多く上がっています。アメリカに近いサウジアラビアもそうですし、当事者となるガザの統治機構であるハマスも勿論、即座に反対を表明しました。 一夜明けた5日の午前7時過ぎに
<一時は米AI関連株が一斉に売られるパニックの様相を呈したが、その衝撃はすぐに収まった> 中国のAIベンチャー「DeepSeek」は1月20日に低コストで比較的高性能のAIモデルをアメリカで発表しました。当初は、その性能を疑問視する声もあったのですが、アップルのアプリストアでは、一気にダウンロード数全米1位となりました。そして、多くのユーザーが試用したところ、特にその経済性が画期的なことが明らかとなったのです。 その結果、1週間後の27日には米国市場ではAIに関連した株が一斉に売られ、特にAIの処理に必要なGPU大手であるエヌビディアの株価は、一時17%下落しました。瞬間的ではありますが、時価総額に換算すると6000億ドル(約93兆円)が吹っ飛んだというニュースまで流れました。エヌビディアの場合、1株が140~150ドルの水準で推移していたのが、ザラ場では一気に114ドルまで暴落したのです
<被害が大きかったパシフィック・パリセーズなどの火災保険金の支払いは天文学的な額に膨らむ> 今年1月7日に確認された南カリフォルニアの山火事は、ロサンゼルス郡などで拡大、特に同郡のパシフィック・パリセーズは甚大な被害を受けました。現時点では大規模な火災は鎮火したものの、まだ4箇所以上の地域で延焼が続いており油断のできない状況が続いています。現地13日の時点では少なくとも164平方キロの面積が焼けており、死者は25人、焼失家屋数は1万2000軒以上、避難者は20万人以上、という空前の大災害となっています。 特にほぼ全域が炎に包まれたパシフィック・パリセーズは、サンタモニカ海岸のすぐ西に位置した海岸沿いの高級住宅地です。多くの豪邸が立ち並び、調査会社のデータによれば約9000軒ある住宅の平均市場価格は310万ドル(約4億8700万円)であったそうです。その大半が焼失したことになります。 そこで
日産とホンダが経営統合しても日鉄がUSスチールを買収しても日本のGDPにはほとんど寄与しない Sean Pavone/iStock <海外生産への転換や現地法人の買収を進めて国内の産業が空洞化すれば、日本のGDPが損なわれることは分かっていた> 内閣府が12月23日に発表した「国民経済計算(年次推計)」によりますと、2023年の日本の1人当たり名目GDP(国内総生産)は、前年比約0.8%減の3万3849ドルでした。これは、経済協力開発機構(OECD)加盟38カ国中22位となり、21位の韓国に抜かれたことになります。 ちなみに韓国に抜かれるのは今回が初めてではなく、計算基準が変更されたために、一昨年の2022年でも、韓国が21位、日本22位だったそうです。更に、年末が迫った今年、2024年に関しては更に一層円安が進んでいることもあり、数字の改善は期待できないと思います。 大昔から、1人当たり
<製造工程だけでなく、研究開発、管理部門も日本国外に流出してしまうのであれば、日本発の3社が経営統合してもGDPには寄与しない> まだ確定ではないと思いますが、自動車メーカーの日産とホンダの経営統合の話が進んでいるようです。共同で持株会社を設立して、三菱自動車の合流も視野に検討がされるという報道もあります。ハイブリッド技術を持たない日産にはメリットがあるとか、企業風土が異なるので難しいかもしれないなど、早速色々な観測が流れています。 トランプ再選を受けて、アメリカではEV化の流れはスローダウンしそうですが、一方でイーロン・マスク氏の政権入りもあり、必ずしもそうではないという見方もあります。いずれにしても、EV化は機構の簡素化につながり、自動車産業の構造を大きく転換します。自動運転も業界に与える影響は大きいでしょう。そんな中で、競争に負けないために、企業連合を組むという流れは不可避だと思いま
<保険金支払いを「渋りがち」な大企業トップへの凶行に、ネット上では賛美の声まで上がっている> 今月4日早朝、ニューヨーク市内で医療保険大手ユナイテッドヘルスのブライアン・トンプソンCEOが殺害されました。背後からトンプソン氏を狙撃した犯行の決定的な瞬間が防犯カメラに記録されており、自転車などで市内を移動する容疑者の写真も撮影されていましたが、狙撃犯は相当なプロで長距離バスに乗って州外に逃亡したとされていました。 韓国の戒厳令、シリアのアサド政権崩壊など世界で大きな事件が起きている一方で、アメリカでは連日この事件が報じられていました。それは、狙撃に使われた薬莢に書かれていたあるメッセージが理由です。銃弾には "deny, defend, depose" (否認せよ、弁護せよ、追放せよ)という3語が書かれていたというのです。これは、保険業界が保険金申請を渋る際の内部用語とされる有名なフレーズ
<バンス副大統領や、一旦は距離を置いた長女イヴァンカ夫妻が共和党議員団とのパイプ役となる可能性も> 2017年からの第一次トランプ政権は、比較的単純な構造を持っていました。大統領のトランプの周辺には、ボスの言うままに当時はツイッターでメッセージを流す「忠臣」ホープ・ヒックス氏がいました。また、そうしたメッセージ発信においてはスティーブ・バノン分析官(当時)が助言をしていました。彼らが支える中で、現職の大統領であるにもかかわらず、暴言気味のメッセージが流され、コア支持者の「期待」に応えていたのでした。 けれども、そんな「トランプ・カルチャー」は当然、非現実的なファンタジーであり、実際には「現実」との折り合いをつけながら、政策の実行に結びつけるルートが必要でした。具体的には、議会共和党との調整や連絡が必要です。こうした「現実との連絡係」としては、長女のイヴァンカ氏とその夫のジャレッド・クシュナ
トランプだけでなくサンダースら民主党左派にも現状不満票は集まっている Megan Stewart/Free Press/USA TODAY NETWORK/REUTERS <アメリカではまだ二大政党制が機能しているが、日本の現状への不満はあらゆる既成政党、メディアにまで向けられている> 日本では兵庫県知事選で、失職した斎藤元彦候補が、パワハラや内部告発への強権的な行動などのスキャンダルが報じられていたところ、出直し選挙で当選しました。前後しますが、7月の東京都知事選でも既成の政治体制への不満を訴えた石丸伸二候補が2位に食い込む善戦をしています。また、今回の名古屋市長選挙でも与野党が相乗りした大塚耕平候補を、河村前市長が後継指名した広沢一郎候補が破りました。 10月の総選挙でも同様に、低投票率にもかかわらず組織票の衰えの中で、既成政党は沈みました。今年、2024年の日本では、こうした現状否定
トランプの広報担当者が投稿した機内でのマクドナルドの食事の写真(右がケネディJr.) Margo Martin/X <食品についても徹底した思想を持ち、ファストフードは「毒」という発言もしていたが......> ドナルド・トランプ次期大統領は、プロレスのイベントに参加するために11月16日にプライベート・ジェットでニューヨークに出張しました。その際には、次期政権で新設される「政府効率化省(DOGE)」の責任者に指名されたイーロン・マスク氏、長男のドン・ジュニア氏、更に次期厚生長官に指名されているロバート・F・ケネディJr.(RFKジュニア)氏が同行していました。 この4人については、機内で一緒にマクドナルドのハンバーガーなどで食事をしている写真が公開されています。どうしてマクドナルドなのかというと、これはトランプ派の選挙運動において、庶民のカルチャーの記号として政治的な意味を持っていたから
<実業家のマスクや実務家のバンスといった天才級の頭脳を周囲に置いた二期目は、現実的な保守路線へと帰結するのでは> 米大統領選の結果が判明しました。投票日の深夜から翌日未明にかけて当確が出るというのは、2016年以前に戻ったようでもありますが、とにかく混乱した2020年と比べると、画期的な改善を見たと思います。共和党が前回は否定していた期日前投票、郵送投票を認めて積極的に投票を促したことに加えて、これを受けて各州の選管が作業の前倒しを徹底するなど、事務方の努力が実ったわけです。選挙結果の信頼性も含めて、民主主義は機能したとも言えます。 それはともかく、一度落選して退任した大統領が再び当選して就任するというのは、1892年に民主党のグローバー・クリーブランドが2度目の当選をして以来となります。この時も、雇用と関税をめぐるバトルが激しく、労働者の利害を代表して大企業を批判したことで、クリーブラン
ニューヨークのトランプの大規模集会に参加した多くの人がおそらく中西部・南部の富裕層 Jen Golbeck/SOPA images/REUTERS <左派を叩くことには興味があるが、生活や雇用には切迫感を持っていない> 10月27日に行われた日本の衆議院選挙は、低投票率でありながら自民党が大敗するという異例な結果となりました。昭和から平成にかけて、日本の選挙では大量の浮動票が結果を左右すると言われており、低投票率、つまり浮動票の棄権が多くなると自民党が勝ってきた経緯があります。1993年の細川政権発足、2009年の鳩山政権発足となった「政権選択」は、浮動票が投票所に押し寄せたからと説明されています。 今回の結果が証明したのは、日本の有権者の中に「保守浮動票」というグループが生まれているということです。漠然とではありますが、左派的なイデオロギーには距離感を持つ一方で、移民が増えたり夫婦別姓や
<仕事を標準化すること、高度な業務のスキル教育を実現することが条件となる> 解雇規制緩和の議論が始まっています。この議論ですが、本来であれば、バブル崩壊後の変革期に始まっても良かったのです。少なくとも1990年代において、電算化と国際化の中で、対応のできない人材を別の分野に適正化させる一方で、新しい世代の若い労働力に入れ替える必要があったのです。仮にそうなっていたら、これだけの超長期にわたって日本経済が衰退することもなかったと考えられます。 では、解雇規制を緩和して、企業の社内も、また労働市場も完全に実力主義にしていけば、それが全体最適なのか、問題は単純ではありません。日本型雇用の硬直した制度が改革されさえすれば、全体が成長してゆく中で個々人にもトリクルダウンと機会の拡大という恩恵があるのかというと、そう簡単ではないのです。解雇規制の緩和を成功させるのには、どうしても一つの条件が達成されな
<農林中金改革や補助金漬け農業からの転換を主張したが、結局は実現できなかった> 今回の自民党総裁選では小泉進次郎氏の動向が話題になっています。そんな中で、同氏が過去に「気候変動問題はセクシーに」という発言をしたとして「言葉が軽い」などと改めて批判されています。この発言は、5年前の2019年の9月に環境大臣として国連温暖化サミット出席のためにニューヨークに出張した際のものです。 そもそも、この「セクシー」という言い方は、クリスティーナ・フィゲレス氏というコスタリカの外交官の発言を引用しただけです。このフィゲレス氏というのは、パリ協定を主導した国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の事務局長だった人物です。また、この2019年の国連気候変動サミットの中心人物の1人でした。 責められるのは、そうした文脈を理解しないで表層的な報道をした当時のメディアです。小泉氏の立場としては、国連サミットに参加する
<急激な円安によって外国企業による日本企業の買収は容易になっている> コンビニチェーンの「セブンイレブン」と総合スーパー「イトーヨーカドー」を展開する「セブン&アイ・ホールディングス」は、カナダのケベック州に本拠があるコンビニエンスストア大手「アリマンタシォン・クシュタール」から買収提案を受けていました。 この動きですが、最新の状況ではアメリカの公取が、買収に異議を唱える可能性が高いという報道が出ました。日本の「セブン&アイ」は、アメリカの「セブンイレブン」も保有していることから、両社の経営統合によって統合後の新会社が必要以上に強い力を持つのは違法だという見方です。つまり統合により、商品やサービスの価格が上昇し、消費者に悪影響を及ぼす恐れがある、そうした観点からアメリカの公取が介入するというストーリーです。 ということで、実際に買収が成立するかは不透明となっています。ですが、今回の買収提案
<米大手ITはいずれもAI搭載モデルを主力商品として売り込んでいる> パリ五輪が開会し、連日熱戦が繰り広げられています。アメリカの場合は、例によって日本の地上波にあたる3大ネットワークのNBCが独占中継権を持っています。NBCでは、ニュース枠も含めて事実上一日中ブチ抜きで五輪中継を続けています。ただ、競技数が多いこともあり、1チャンネルでは収まらないわけで、系列のUSAなど複数の局でも中継をしています。加えて全競技のネット配信もされています。 アメリカの場合はこのネット配信は広告付きです。30秒とか1分といった長めのコマーシャルを視聴すると中継に切り替わり、長い中継の場合は途中でも広告の追加の視聴が入ってくるというシステムです。ところで、今回も巨額のマネーが動いているアメリカの五輪放映におけるコマーシャルですが、今年の場合は圧倒的にAI関係の広告が目につきます。 例えばグーグルは、「ジェミ
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