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インタビュー
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理化学研究所(理研)は、スーパーコンピュータ「富岳」[1]の次世代となる新たなフラッグシップシステムの開発・整備を2025年1月から開始します。理研は、「次世代計算基盤に関する報告書 最終取りまとめ」[2](2024年6月文部科学省HPCI計画推進委員会。以下、「最終取りまとめ」という。)において、新たなフラッグシップシステムの開発主体とされており、2024年度(令和6年度)総合経済対策および2024年度(令和6年度)補正予算に基づいてプロジェクトの開始を前倒しするものです。 我が国の科学技術・イノベーションが世界をリードし、社会や産業を発展させるためには、これまでのスーパーコンピュータで追求してきたシミュレーション性能だけではなく、シミュレーションとAIの両者において世界最高水準の性能を達成し、さらにシミュレーションとAIとが密に連携して処理を行いつつ、科学上の仮説生成や実証を含むサイエ
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 理研CBS-トヨタ連携センター(BTCC)社会価値意思決定連携ユニット(研究当時)の赤石 れい ユニットリーダー(研究当時)らの国際共同研究グループは、グループサイズの変化が人々の協力行動に影響を与えるメカニズムを解明しました。 本研究成果は、人類がどのようにして大規模な協力的社会を形成できるのかという根本的な問いの理解に貢献すると期待されます。 これまでの研究ではグループサイズ(人数)が大きくなるほど、一人の相手との関係悪化のコストが相対的に小さくなり特定の相手との相互作用の頻度も低下するため、将来の協力による報酬が得られにくくなることから協力行動が減少すると考えられてきました。 今回、国際共同研究グループは、グループサイズの増加に伴い協力行動が増えるという従来の知見と矛盾した現象について、その神経認知メカニズムを明らかにしました。この実験では
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 理研CBS-トヨタ連携センター(BTCC)社会価値意思決定連携ユニット(研究当時)の赤石 れい ユニットリーダー(研究当時)らの国際共同研究チームは、オンラインコミュニケーションの利用が若者の精神的健康に与える影響について、日本で初めての経験サンプリング法[1]を用いた大規模かつ日常生活レベルでの科学的調査を実施しました。その結果、ソーシャルメディアの閲覧など一対多のオンラインコミュニケーション[2]は孤独感を増加させる一方、メッセージの直接的なやり取りなど一対一のオンラインコミュニケーション[3]は幸福感を増加させることが明らかになりました。ただし、ソーシャルメディアやその他のスマートフォン(スマホ)アプリの利用などのデジタル利用の増加が対面コミュニケーションの時間を減少させ、これが間接的に精神的健康に悪影響を与えていることが分かりました。 本
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 比較コネクトミクス研究チームの播磨 有希子 基礎科学特別研究員(研究当時)、宮道 和成 チームリーダーらの共同研究グループは、マウスを用いて、副腎と腸管の機能をそれぞれ制御する交感神経[1]の異なるサブタイプ[1]が脊髄の中に存在することを発見しました。 本研究成果は、交感神経による全身の臓器機能の制御に関して、臓器やその機能ごとに専用のサブタイプが用意されているという新しい概念を提案し、将来的に臓器機能の不調を原因とする疾患の治療戦略に貢献すると期待できます。 ヒトを含む動物のさまざまな臓器は、交感神経と副交感神経[1]から拮抗的(きっこうてき)な制御を受けています。これらの自律神経[1]は、全身の臓器を一斉に一方向に制御するものと捉えられており、個々の臓器に特化した精細な制御があるとはこれまで一般に認識されてきませんでした。 共同研究グルー
理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター 創発ソフトマター 機能研究グループの相田 卓三 グループディレクター(東京大学 卓越教授(国際高等研究所東京カレッジ))、程 逸人 研修生(研究当時)、平野 英司 研究パートタイマーⅡ、黃 虎彪 研究員(研究当時)らの国際共同研究チームは、強靭(きょうじん)でありながら海水中などで容易に原料にまで解離し、生化学的に代謝される「超分子プラスチック」の開発に成功しました。 本研究成果は、プラスチックの代替材料として、固体の超分子ポリマーの可能性を初めて示唆し、マイクロプラスチックによる環境汚染の抑制に貢献すると期待されます。 今回、国際共同研究チームは、食品添加物や農業用途に広く用いられている安価な生化学的な物質代謝を受ける2種類のイオン性モノマー[1]を用いて、高い物質代謝活性を持ちながら、優れた成形加工性、耐熱性、高い力学特性など、従来のプラス
2024年11月8日 理化学研究所 東京大学 科学技術振興機構(JST) 日本電信電話株式会社 株式会社Fixstars Amplify 理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター 光量子計算研究チームの古澤 明 チームリーダー(量子コンピュータ研究センター 副センター長、東京大学大学院工学系研究科 教授)、光量子制御研究チームの米澤 英宏 チームリーダー、日本電信電話株式会社(NTT)、株式会社Fixstars Amplifyの平岡 卓爾 代表取締役社長CEOらの共同研究グループは、新方式の量子コンピュータ[1]の開発に成功しました。これは世界に先駆けた汎用型光量子計算のためのプラットフォームとなります。 量子コンピュータは量子力学の原理を計算に利用することで、さまざまな問題が超高速で解けると期待され、世界中で激しい開発競争が行われています。理研量子コンピュータ研究センターでも20
本年度のノーベル物理学賞が人工知能分野のジェフリー・ヒントン、ジョン・ホップフィールドの両博士に贈られたことは大変に喜ばしい。物理はもともと「物の理」を考究する学問であるが、これが「事の理」ともいうべき情報の理にまで幅を広げたのである。まさに物理は越境する。人工知能と神経回路網理論研究の源流は日本にもあり、その成果が国際的に活かされて今日のAI時代を迎えた。 ヒントン博士は多層神経回路網の確率降下学習法に始まり、ボルツマン機械、情報の統合、その他多くの画期的な仕事を成し遂げたのみならず、神経回路網を深層にすることで高度の情報識別が行えることを予見し、これに数々の工夫を加えることで画期的な成果を挙げた。人工知能の新しい道を切り開いたのである。 ホップフィールド博士は、神経回路網における連想記憶を提唱して、その容量をコンピュータシミュレーションにより導いて、この分野に多くの理論物理学者を惹きつ
理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター 量子コンピュータアーキテクチャ研究チームの後藤 隼人 チームリーダーは、量子コンピュータのための誤り訂正技術を高効率化することに成功しました。 本研究成果は、誤り訂正技術によって誤りを訂正しながら量子計算を実行する誤り耐性量子コンピュータの早期実現に貢献すると期待できます。 今回、後藤 チームリーダーは、高い符号化率(レート)[1]を有する量子誤り訂正符号「多超立方体符号[2]」を提案しました。例えば、216個の物理量子ビット[3]を用いて64個の論理量子ビット[4]を符号化でき、符号化率を64/216≒30%と高くできます。また、専用の高性能な復号器[5]や符号化器[6]を開発することで、符号化率が高いにもかかわらず、符号化率が低い従来符号と同程度の誤り訂正性能を有します。言い換えると、同じ誤り訂正性能を従来よりも少ない物理量子ビット数で
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 栄養応答研究チームの小坂元 陽奈 基礎科学特別研究員、小幡 史明 チームリーダーらの共同研究チームは、食餌に含まれる10種類の非必須アミノ酸が個体の健康状態に与える影響をショウジョウバエ[1]を用いて網羅的に解析し、チロシンの欠乏が寿命や代謝生理に関わることを発見しました。 本研究成果は、栄養素が持つ生理機能の基礎的理解につながり、また健康寿命の延長に向けた栄養介入法の開発に貢献すると期待できます。 近年、タンパク質や特定のアミノ酸の摂取制限が、健康寿命の延長に効果的であることがさまざまな動物種で報告されています。しかし、そのメカニズムには不明な点が多くあります。特に非必須アミノ酸[2]は、体内で十分合成されるため、その摂取制限による影響については見過ごされてきました。 今回、共同研究チームは、ショウジョウバエを使った実験から、非必須アミノ酸を
理化学研究所(理研)開拓研究本部 岩崎RNAシステム生化学研究室の岩崎 信太郎 主任研究員、七野 悠一 研究員、戸室 幸太郎 大学院生リサーチ・アソシエイト、水戸 麻理 テクニカルスタッフⅠ、藤 博貴 学振特別研究員PD、河本 尚大 基礎科学特別研究員、東京大学 生産技術研究所の池内 与志穂 准教授、周 小余 特任助教らの共同研究グループは、細胞内で「翻訳[1]」を行うリボソーム[2]の数やタンパク質がつくられる速度を初めて網羅的に計測しました。 本研究成果は、高効率なRNAワクチンの設計や、神経変性疾患やがんなどの翻訳異常を伴う疾患病態の理解へとつながるものと期待されます。 メッセンジャーRNA(mRNA)[3]からタンパク質を組み立てるプロセスである翻訳は生物種間において高度に保存されたメカニズムです。翻訳ではリボソームと呼ばれる巨大な分子複合体がmRNA上の分子暗号を解読しながら、タ
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 時空間認知神経生理学研究チームの藤澤 茂義 チームリーダーと大内 彩子 基礎科学特別研究員の研究チームは、嗅内皮質(きゅうないひしつ)[1]において、自らの将来の位置に対して空間を格子(グリッド)状に表現するニューロン(神経細胞)を発見しました。 本研究成果は、動物やヒトにおける空間認識や未来予測の神経基盤の理解に貢献すると期待されます。 今回、研究チームは、ラットが広い環境で探索行動をしているとき、嗅内皮質において、そのラットの数十センチメートル先の将来の位置に対して空間を格子状に表現する「予測的格子細胞」を発見しました。予測的格子細胞は、進行方向に対して格子場をシフトさせることで、将来の空間情報を表現していました。予測的格子細胞は海馬のシータ波[2]と呼ばれる脳波の谷の位相[3]で活動し、他のタイプの格子細胞とともに、各シータ波の周期全体にわ
理化学研究所(理研)開拓研究本部 眞貝細胞記憶研究室の新海 暁男 上級研究員、志村 知古 テクニカルスタッフⅠ、福田 渓 客員研究員、眞貝 洋一 主任研究員らの国際共同研究グループは、さまざまな生命現象やがんや免疫不全などの疾患に関与しているDNAメチル化をコントロールする仕組みを明らかにしました。 本研究成果は、DNAメチル化制御の全容解明に向けた一歩であり、疾患治療や創薬の基礎につながるものと期待されます。 ICF症候群[1]と呼ばれる免疫不全ではDNAの低メチル化が認められ、その原因遺伝子にHELLSとCDCA7が含まれていることなどからHELLS-CDCA7(HELLSタンパク質とCDCA7タンパク質の複合体)がDNAメチル化の制御をつかさどっていると考えられてきました。しかしその分子機構は不明でした。 今回、国際共同研究グループは、両側鎖がメチル化されたDNAの複製の際に形成され
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 神経老化制御研究チームの綿村 直人 研究員(研究当時、現 客員研究員)、垣矢 直雅 研究員(研究当時)、西道 隆臣 チームリーダーらの国際共同研究グループは、アルツハイマー病(AD)[1]の初期病理学的因子であるアミロイドβ(Aβ)ペプチド[2]の分解酵素「ネプリライシン[3]」が、脳内神経伝達物質の一つであるドーパミン[4]によって制御されていることを発見しました。 本研究成果は、ADの予防・治療法の開発に貢献すると期待されます。 今回、国際共同研究グループは、培養細胞を用いた網羅的スクリーニングにより、ドーパミンがネプリライシンの活性を調節していることを明らかにしました。また、化学遺伝学的手法によって、腹側被蓋野(ふくそくひがいや)[5]におけるドーパミン作動性神経細胞を長期的に活性化し、ドーパミン放出を促すと、その投射先である前頭前皮質にお
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 栄養応答研究チームの佐久間 知佐子 上級研究員(東京慈恵会医科大学 講師(研究開始当時))、東京慈恵会医科大学 熱帯医学講座の嘉糠 洋陸 教授らの共同研究グループは、哺乳類の血液中に存在する「フィブリノペプチドA(FPA)[1]」が、ネッタイシマカ[2]の吸血を停止させる作用を持つことを発見しました。 本研究成果によって、ウイルスなどの病原体を媒介する蚊の根源的な行動である吸血の仕組みの理解や、人為的に吸血を阻害する手法の開発など新たな感染症対策への応用が期待されます。 宿主の皮膚に止まって血を吸い始めた蚊は、血中に存在する吸血促進シグナルを受容することで吸血を継続させます。多くの場合、蚊は満腹になる(腹部が膨満する)前に吸血を停止し宿主から離れますが、吸血を停止させるシグナルについてはよく分かっていませんでした。 今回、共同研究グループは、宿
理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター バイオ高分子研究チームの沼田 圭司 チームリーダー(京都大学 大学院工学研究科 教授)、シャミタ・ラオ・モレ-ヤギ 客員研究員(京都大学 大学院工学研究科 特定助教)、京都大学 大学院農学研究科の木下 有羽 助教、元木 航 助教(研究当時)らの共同研究グループは、破砕・乾燥処理した海洋性の非硫黄紅色光合成細菌[1]のバイオマス[2]が作物栽培の窒素肥料として利用可能であることを明らかにしました。 本研究成果は、既存の窒素肥料に替わる持続可能な窒素肥料の開発に貢献すると期待できます。 海洋性の非硫黄紅色光合成細菌であるRhodovulum sulfidophilumは窒素と二酸化炭素の固定が可能であり、これを破砕・乾燥処理したバイオマスは11%(重量比)もの窒素を含有しています。共同研究グループはそのバイオマスを肥料として利用し、植物がバイオマス
理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター 代謝システム研究チームの多部田 弘光 基礎科学特別研究員、平井 優美 チームリーダー(名古屋大学 大学院生命農学研究科 客員教授)の研究チームは、植物に含まれる非タンパク性アミノ酸の一種である2-アミノピメリン酸が発根作用を持つことを発見しました。この機能性アミノ酸を与えることで、幅広い双子葉植物における発根の促進やバイオマス収量の増加が期待できます。 植物の成長や環境応答の制御は、収量増加を目指した汎用性が高い農業戦略であり、以前から盛んに研究が進められてきました。近年では、植物への添加によって乾燥耐性を強化したり、収量を増加させたりすることができるバイオスティミュラント[1]を活用する農業技術が注目を集めています。 本研究では、添加実験をベースにした表現型解析の結果から、2-アミノピメリン酸が双子葉植物の根系[2]の形態変化に関与する機能性
理化学研究所(理研)計算科学研究センター(R-CCS)量子HPC連携プラットフォーム部門 佐藤 三久 部門長、量子HPCソフトウェア環境開発ユニット 辻美 和子 ユニットリーダー、量子コンピュータ研究センター(RQC)中村 泰信 センター長、萬 伸一 副センター長、大阪大学 量子情報・量子生命研究センター(QIQB)北川 勝浩 センター長、藤井 啓祐 副センター長、根来 誠 副センター長らの共同研究グループは、最先端研究プラットフォーム連携(TRIP)[1]構想の一環として進める計算可能領域の拡張に向け、スーパーコンピュータ「富岳」[2]と量子コンピュータ「叡(えい)」[3]の連携利用を実証し、原理の異なるコンピュータ間の連携利用によって計算可能領域が拡大する可能性を示しました。 本成果を生かし、量子コンピュータとスーパーコンピュータの連携による最先端の計算環境の実現に寄与し、今後の科学技
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 数理脳科学研究チームの寺田 裕 基礎科学特別研究員(研究当時)と豊泉 太郎 チームリーダーの研究チームは、神経ダイナミクスのカオス[1]を用いて、環境状態の推定を行う脳型のベイズ計算[2]機構を提案しました。本研究成果は、脳の情報処理メカニズムの原理の解明、特に神経活動のダイナミクスを用いた推論の理解に貢献すると考えられます。また、脳を模倣したニューロモルフィック計算機[3]など人工知能や機械学習への応用も期待されます。 今回、研究チームは、神経細胞間の情報伝達を担うシナプス結合[4]の効果で生じる神経活動のカオスに着目しました。提案した脳の神経回路[5]のモデルでは、感覚入力がたとえ一定であっても、シナプス結合による神経細胞間の相互作用を使って時間とともに揺らぐ神経活動を積極的に生成します。このように生成された神経活動は微小な変動による誤差が将
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 発生幾何研究チームの森下 喜弘 チームリーダー、川住 愛子 学振特別研究員RPD(研究当時)、李 尚雨 技師らの共同研究グループは、hoxc12/hoxc13遺伝子[1]が、無尾両生類[2](カエル)の四肢再生時に発生プログラムを再起動させる際の重要な制御因子であることを発見しました。 本研究成果は、両生類の再生機構の理解とともに、再生能力が著しく低いヒトを含む哺乳類の再生能力を向上させる手法の探索につながると期待できます。 無尾両生類は、幼生期は手や足が切断されても元通りになるなど高い器官再生能力を有しますが、成体になると低下するというライフステージに依存した再生能力を持ちます。再生能力の経時的変化の仕組みや成体再生能力の回復方法について多くの研究がなされてきましたが、いまだ解明されていません。 今回、共同研究グループは、四肢発生時と再生時の
理化学研究所(理研)生命医科学研究センター ゲノム解析応用研究チームの寺尾 知可史 チームリーダー(静岡県立総合病院 臨床研究部 免疫研究部長、静岡県立大学 薬学部ゲノム病態解析講座 特任教授)、劉 暁渓 上級研究員(研究当時:ゲノム解析応用研究チーム 研究員; 静岡県立総合病院 臨床研究部 研究員)、東京大学医科学研究所附属ヒトゲノム解析センター シークエンス技術開発分野の松田 浩一 特任教授らの共同研究グループは、大規模な日本人の全ゲノムシークエンス(WGS)[1]情報を分析し、日本人集団の遺伝的構造、ネアンデルタール人[2]およびデニソワ人[3]由来のDNAと病気の関連性、そしてゲノムの自然選択が影響を及ぼしている領域を複数発見しました。 本研究成果は、日本人集団の遺伝的特徴や起源の理解、さらには個別化医療[4]や創薬研究への貢献が期待されます。 今回、共同研究グループは、バイオバン
理研仁科加速器科学研究センター イオン育種研究開発室の阿部 知子 室長らが開発した新種のサクラを紹介します!JFC石井農場と共同開発による成果です。 理研の加速器「リングサイクロトロン」から発生する重イオンビームを照射して突然変異を誘発させてつくり出しました。 新品種の作り方(重イオンビームによる変異誘発技術) 緑がかった花を咲かせる桜「御衣黄(ぎょいこう)」(写真右)に重イオンビームを照射して突然変異を誘発させてつくり出したもので、淡黄色の花を咲かせます。その花は、黄色ピンクのふちに明黄緑色の筋が入り、咲き始める頃には淡黄緑白色で、終わりの頃に淡黄ピンクが広がり、美しい色の変化が見られます。通常、開花時期は4月中旬頃で、約2週間と長期間にわたり花が楽しめます。花の形は半八重で、4~5センチ程度の大きさをしており、元親の御衣黄と違った新品種となりました。 「仁科」は理研の加速器の父・仁科芳
2024年3月25日、理研計算科学研究センター(R-CCS)とソフトバンク株式会社は経済産業省、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の採択事業「量子・スパコン連携プラットフォームプロジェクト」のキックオフシンポジウムをハイブリッド形式で開催しました。 本事業は昨年9月にソフトバンクと共に採択されました。共同実施者である東京大学および大阪大学と協力し、量子コンピュータとスーパーコンピュータ(スパコン)を連携するための量子・HPC連携システムソフトウェアの研究開発とプラットフォームの構築を行います。そしてその先にあるポスト5G時代におけるネットワークで提供されるサービスとして利用される技術の実現に取り組んでいます。 今回のキックオフシンポジウムは、事業の目的や研究内容を、将来ユーザー層になりうる可能性を秘めた研究者や企業、学生の方々に広くお知らせすることを目的として開催されました。
文部科学省が毎年4月の科学技術週間にあわせて制作する学習資料「一家に1枚」について、令和6年度版のテーマとして理化学研究所が企画した「世界とつながる"数理"」が選ばれ、2024年3月25日にダウンロード用画像が文部科学省の科学技術週間のページに公開されました。 ポスターは全国の小学校・中学校・高等学校、大学等へ配布されている他、今後、科学館や博物館などでも配られる予定です。また、紙面の内容をより掘り下げた特設ウェブサイトも公開する予定です。 制作に当たっては、理研数理創造プログラム(iTHEMS)の永井 智哉 コーディネーターをはじめとした研究者や事務部門の職員を含めた理研所内外の制作チームにより制作監修をしました。 「数学を道具として使うこと」で世界のものごとを理解したり答えを出したりする「数理」をテーマに、数理が私たちの生活でどのような形で使われているのかを、さまざまな事例をもとに紹介
理化学研究所(理研)量子コンピュータ研究センター 量子複雑性解析理研白眉研究チームの桑原 知剛 理研白眉チームリーダー(開拓研究本部 桑原量子複雑性解析理研白眉研究チーム 理研白眉研究チームリーダー)、ヴー・バンタン 特別研究員、京都大学 理学部の齊藤 圭司 教授の共同研究チームは、相互作用するボーズ粒子[1]系において量子もつれ[2]が伝達する速度の限界を理論的に解明しました。 本研究成果は、多数のボーズ粒子が相互に作用することで生じる量子力学的な動きを理解する上で新しい洞察を提供すると同時に、量子コンピュータ[3]を含む情報処理技術における根本的な制約を解明することにも寄与すると期待されます。 量子力学で現れる最も基本的な粒子であるボーズ粒子が相互作用を通じてどのくらいの速さで量子的な情報を伝達できるのか、という問題は長年未解決でした。 共同研究チームはリーブ・ロビンソン限界[4]と呼
理化学研究所(理研)脳神経科学研究センター 意思決定回路動態研究チームの岡本 仁 チームリーダー、谷本 悠生 研究員、柿沼 久哉 テクニカルスタッフⅠらの共同研究チームは、ヒトの知的行動をつかさどる神経回路が魚にも共通して存在することを発見しました。 本研究成果は、ヒトの知性の解明に向けて、動物の知的行動を支える共通の神経回路の動作原理の解明に貢献すると期待できます。 今回、共同研究チームは、小型魚類であるゼブラフィッシュ[1]の神経回路の接続を網羅的に調査し、ヒトの知的行動をつかさどるとされる大脳皮質-基底核回路[2]が、魚にも存在していることを発見しました。このことは、魚が過去の経験や周囲の状況に応じて適切な行動を選び取る過程が、ヒトの知的行動と共通の神経回路で制御されていることを示唆します。ゼブラフィッシュはコンパクトな脳を持ち、この神経回路を顕微鏡の視野に一度に収めることができるた
松尾 貞茂 研究員らの国際共同研究グループは、量子コンピュータの演算素子などに使われている「ジョセフソン接合」に関わる、ユニークな超伝導物理を研究しています。2022年9月には、理論的に予言されていた、ジョセフソン接合同士の接続に関する現象を実験で証明し、新たな素子開発の可能性を開きました。この成功を出発点に「超伝導ダイオード効果」や「異常ジョセフソン効果」といった新たな物理現象の観測にも成功しています。 超伝導とジョセフソン接合 オランダの物理学者カマリン・オンネスが「超伝導」を発見したのは1911年のこと。超伝導とは、特定の金属や化合物(超伝導体)を冷やしていくと、突然電気抵抗がゼロになる現象だ。電気抵抗がゼロになるのは、通常はばらばらに動き回る電子がペアを組んで移動するからで、この電子のペアを「クーパー対」、クーパー対の流れを「超伝導電流」という。 近年、研究開発が加速している量子コ
理化学研究所(理研)環境資源科学研究センター 植物ゲノム発現研究チームの関 原明 チームリーダー、戸高 大輔 研究員、筑波大学 生命環境系の草野 都 教授らの共同研究グループは、トマトへのエタノールの投与により、高温ストレス耐性が強化されることを発見しました。 本研究成果は、農作物の高温耐性を強化する技術の開発に貢献すると期待できます。 今回、共同研究グループは、トマトの幼植物体に、安価で入手しやすいエタノールを投与した後、高温ストレス環境下に置きました。その結果、高温ストレス後の生存率が向上することおよび高温ストレスによる果実の生育ダメージが低減することを見いだしました。遺伝子発現や代謝産物の量的変化を網羅的に解析したところ、エタノールの投与によって、1)LEAと呼ばれるストレス応答性遺伝子の発現量が増加すること、2)グルコースやフルクトースなどの糖類が蓄積すること、3)増加すると生体に
『RIKEN NEWS』2006年3月号、同年4月号で連載された「記念史料室から」より一部改変、転載。 組織・機関名および肩書などはすべて初出掲載当時のもの。 日本の原子核物理学の父、仁科芳雄博士(1890~1951年)は、1937年に日本で初めて、世界では2番目となる「サイクロトロン」と呼ばれる粒子加速器を完成させ、世界最先端の研究を行った。しかし、その業績については、あまり知られていない。また第二次世界大戦中、政府の命令により理研では仁科博士を中心に原爆研究が行われ、その実態についてはこれまでも多くの調査報告があるが、直接携わった研究者自身の証言はあまり紹介されてこなかった。今回、仁科研究室の出身で、原爆研究に直接携わった中根良平元理研副理事長が語る、これまで触れられることのなかった秘話を紹介する。 中根良平(1921年~2010年) 元理化学研究所副理事長。大阪大学理学部化学科卒。1
理化学研究所(理研)生命機能科学研究センター 老化分子生物学研究チームの村田 梢 研究員(臨床橋渡しプログラム[1]・升本研究室 研究員)、升本 英利 上級研究員(同升本研究室研究リーダー、京都大学 医学附属病院 心臓血管外科 特定准教授)、京都大学 医生物学研究所 ウイルス感染研究部門の朝長 啓造 教授、牧野 晶子 准教授らの共同研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の持続的な感染が心不全のリスクを高める可能性があることを、ヒトiPS細胞[2]を用いた実験で明らかにしました。 本研究成果は、これまでほとんど報告のないヒト心臓組織に対するSARS-CoV-2の持続感染の影響を示したものであり、「ポストコロナ」においてパンデミック[3]が危惧される心不全(SARS-CoV-2心筋症)の発症・進行メカニズムの解明や、治療法の開発に貢献すると期待できます。 2019年から始まっ
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