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TGS2024
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東大は5月16日、授業料改定を検討していることを明らかにした。6月ごろ、学生向けに「総長対話」を開催する予定だという。 一部メディアは15日、東大が最大10万円の授業料値上げを検討していると報道した。16日夜に、教育・学生支援部が学務システム上で報道に関するお知らせを掲示。授業料値上げについて、現段階では検討中で決定事項として周知できる情報はないとし、検討結果を速やかに知らせると説明した。改定された場合、導入年度の入学者から新たな授業料が適用され、授業料免除の拡充などの経済的支援を検討しているという。 国立大学の授業料は省令により一定の基準が定められ、20%を上限に各大学の裁量で増額が可能。現在、東大の授業料は「標準額」の年間53万5800円で、20年間据え置かれてきた。 15日の一部報道を受け、東京大学教養学部学生自治会は、情報公開と学生の議論への参加を求める要望書を提出。一部の学生有志
本棚から東大教員の長年にわたる知の蓄積の一端が垣間見えるのではないかー そんな思いから生まれた新連載「東大教員の本棚」。初回は東大の研究者の間でも大変な蔵書家として知られ、「東大教授の本棚」という企画ならまずはこの人にと推薦された東大東洋文化研究所(以下、東文研)の大木康教授。しかし、大木教授の専門は「馮夢龍(ふうぼうりょう)」。聞いたことがあるという人は少ないだろう。この文学者を研究するのになぜそれほどの本が必要だったのか。来年の定年退職を前に、本を切り口として、研究人生について語ってもらった。 (取材・宮川理芳 撮影・臧喜来) 『三国志』も『雨月物語』も 馮夢龍は明代の出版文化のキーパーソン ━━先生の専門は明代の文学者・馮夢龍ですが、この作家は日本ではそれほど知られていないようです。どんな人ですか 知名度が低いのは私の力不足かもしれません。でも実はかなり広く影響力を持った人物でした。
東大の前期教養課程の1年生の多くは、初修外国語(いわゆる「第二外国語」「二外」)として(表1)にある言語のいずれかを1年間学ぶ。学習を進めると、不条理・不規則に思えるような現象に出会うこともあるはずだ。しかし、その「不条理・不規則」は、その言語以外の言語でも見られる「規則的」な変化と関わっていることがある。一体どのような説明ができるのだろうか。歴史言語学などが専門の小林正人教授(東大大学院人文社会系研究科)への取材などから、初修外国語の「なぜ」を解き明かす。(構成・金井貴広、小原優輝) 図表はいずれも東京大学新聞社が作成 ① 複合母音(フランス語)、合成母音(韓国朝鮮語) ② 声調(中国語) ③ 男性名詞・女性名詞(イタリア語・スペイン語・フランス語)、中性名詞(ロシア語・ドイツ語) ④ 「have」+過去分詞と「be」+過去分詞の二つの現在完了形(過去形)(ドイツ語・イタリア語・フランス
先月13日、国立大学法人法の改定案が臨時国会にて成立した。中期的な経営方針を決定する合議体「運営方針会議」の設置が東大にも義務化される見込み。一部の大学教員や学生から強い反対の声が上がったが、与党は16項目からなる附帯決議を加えることで成立に持ち込んだ。法改正の問題点や経緯について、国会での審議に参考人として出席した隠岐さや香教授(大学院教育学研究科)に寄稿してもらった。(寄稿=隠岐さや香) 昨年の12月13日、大学法人法の一部を「改正」する法律が臨時国会を通過した。これまでにも国立大学法人は何度も改正されてきたのだが、2014年以降はとりわけ、学外関係者(特に経済界)による大学運営参加を増やすこと、各部局(学部)の教授会による自治的なボトムアップの構造を弱めること、一方で学長と執行部によるトップダウン的な意思決定を強めることが実現されてきた。今回の法律はいわばその方向性の終着点として理解
2024年の大河ドラマ「光る君へ」。紫式部が主人公となる本作は、平安貴族の世界を描く初めての大河ドラマとなる。「光る君へ」の時代考証を務めるのは、日本古代史・古記録学を専門とする倉本一宏教授(国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学)だ。大河ドラマの見方や、日本古代史研究の魅力、歴史への向き合い方について話を聞いた。(取材・山口智優) 【前編はこちら】 戦争だけが歴史じゃない 2024年大河ドラマ「光る君へ」時代考証・倉本一宏教授インタビュー【前編】 倉本一宏(くらもと・かずひろ)教授(国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学) 89年東大大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。09年より現職。著書に『紫式部と藤原道長』(講談社)、『平安貴族とは何か三つの日記で読む実像』(NHK出版)など。 好きなことに打ち込んだ学生時代 ゼミから開けた将来の道 ──東大ではどのよ
2024年の大河ドラマ「光る君へ」。紫式部が主人公となる本作は、平安貴族の世界を描く初めての大河ドラマとなる。「光る君へ」の時代考証を務めるのは、日本古代史・古記録学を専門とする倉本一宏教授(国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学)だ。大河ドラマの見方や、日本古代史研究の魅力、歴史への向き合い方について話を聞いた。(取材・山口智優) 倉本一宏(くらもと・かずひろ)教授(国際日本文化研究センター・総合研究大学院大学) 89年東大大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。09年より現職。著書に『紫式部と藤原道長』(講談社)、『平安貴族とは何か 三つの日記で読む実像』(NHK出版)など。 【後編はこちら】 研究者を目指したきっかけや、平安時代の「リアルな歴史」を学ぶことの重要性について聞きました。取材こぼれ話も合わせて掲載しています。 史実とドラマは別物 区別して楽しんで ─
「教育理念に共鳴し、強い意欲を持って学ぼうとする志の高い皆さんを、日本のみならず世界の各地から積極的に受け入れたい」。東大のアドミッションポリシーにはこう高々と掲げられている。だが、本当に誰もが東大生になることができ、格差は存在しないのだろうか。これからの入試を考える土台として、データから見える現状を、教育社会学・正義論の見地から考察した。(取材・岡拓杜、渡邊詩恵奈) 東大生の半分は私立出身!? データが示す東大入試 「東大合格に必要なことがあるとすれば、何だと思いますか。三つまで選択してください」。東京大学新聞社が本年度3月28、29日に実施した新入生アンケートで、2820人の新入生から回答を得た。「自己の努力」という答えが約6割あった一方、「周りの学習環境」や「保護者の経済力」といった外的要因を挙げる回答も50%前後あった。これは、東大生の実感として環境の違いが努力と並んで合格に影響を
太宰治研究の第一人者でもありながら、27年間東大教員として学生を見守ってきた安藤宏教授(東大大学院人文社会系研究科)。作家の人生や、当時の社会状況と言葉が紡ぐ精神的ドラマに魅せられ文学の世界に。教員の背中から学び自らの道を切り開く東大の気風を感じながら、研究や学生との交流を続けてきた。その中で見出してきた、読書体験の面白さや文学に触れる意義について聞いた。(取材・佐々ひなた) 学友と恩師が大きな刺激に 突き放されて見つけた自分の道 ──大学生時代の読書体験について教えてください 私が大学生だった時は、本を読むことが学生たちにとって、一つのステータスでした。喫茶店で周りの友達が「この作家と言えばあの本だ」などと議論を始めると、読んでいない恥ずかしさと焦りでいっぱいになって、帰り際に書店でその作家の本を買い込んだりしたものです。お互いの知的好奇心を切磋琢磨(せっさたくま)していた、と言えば良く
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず。」この有名な一節で始まる『方丈記』は、1212年に鴨長明により成立した。『方丈記』は「日本三大随筆」の一つとして、そして災害描写の正確さゆえに「災害文学」として、受容されてきた。関東大震災をはじめ災害のたびに記事や記録で引用され、それをきっかけに多くの人々が『方丈記』を読み返した。中世日本文学に詳しい木下華子准教授(東大大学院人文社会系研究科)に、成立から800年以上経つ今もなお読み継がれる『方丈記』の魅力や、災害文学の在り方について聞いた。(取材・本田舞花) 『方丈記』は日本最古の「論文」!? ──『方丈記』は「日本最古の災害文学」と言われています。それまでの日本では、災害について大きく扱った文学はあまりなかったのでしょうか 火事を例に取りましょう。平安京では、家は木と紙と土で作られていた上に、明かりを火で取っていたため、頻繁に火事が起
東大総合図書館は5月1日、郵送による図書館資料の貸出と複写物提供サービスの正式運用決定を発表した。新型コロナウイルスの影響で始まったサービスだったが、来館困難な人のために今後も継続するとしている。 同サービスは東大在籍者を対象としており、感染症予防だけでなく負傷や病気、業務の都合などの理由でも利用可能。5月10日からの正式運用に当たり、文献複写料の他に郵送料も利用者の自己負担となる。 休館による学習・研究への悪影響を改善するため2020年5月に臨時的に始まった同サービスでは、同館が所蔵する資料を通常の貸出冊数の範囲内で貸出・返却したり、複写を取り寄せたりできる。同年6月に図書館が再び開館してからも継続して運用されていた。 有効な入館証を持つ引率者がいない場合の学外者の図書館見学は引き続き受け付けを停止するとしている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や「人生100年時代」の到来で、労働者を取り巻く環境は急速に変化している。労働者が働きながら学び直すリカレント教育の必要が高まっている。東大でも、今年10月、社会人向けの人材育成プログラムの提供などを行う東京大学八重洲アカデミックコモンズを開設するなどの取り組みを行っている。しかし、日本では社会人の学び直しは少ない。日本でリカレント教育が普及しない理由は、そして今後の課題は。社会人教育や生涯学習などを研究する牧野篤教授(東大大学院教育学研究科)と、スマートシティスクールに通う社会人の徳光勇人さんに話を聞いた。(取材・石川結衣) 雇用制度の変化・労働者不足・年金制度危機の中で リカレント教育とは、生涯にわたり教育と就労を繰り返す教育システムのこと。平成29年から30年にかけて開かれた政府の「人生100年時代構想会議」などがきっかけに多様な生き方が
研究チームが合成したプラセオジム酸化物Pr2Zr2O7の単結晶 唐楠特任研究員(研究当時)、中辻知教授(ともに東大大学院理学系研究科)らは米ジョンズホプキンス大学や独マックスプランク研究所などとの共同研究により、Pr2Zr2O7という物質中で「スピン軌道液体」という新奇な量子もつれ状態を実現することに成功したと発表した。成果は12月1日付の英科学雑誌『Nature Physics』に掲載された。 量子もつれとは、ある粒子の状態と別の粒子の状態どうしが互いに相関する現象のこと。例えば、物質中で電気を運ぶ粒子である電子は磁石としての性質「スピン」を持ち、磁石のN極が上向きになっている状態と下向きになっている状態をとることができる。物質中に存在する非常に多数の電子のスピン状態が量子もつれを起こした「量子スピン液体」を実現している物質の候補は数多く報告されてきた(関連記事)が、今回研究チームが発見
東京大学新聞社は各学部・研究科への問い合わせを基に、2021年度卒業・修了者の就職状況を集計した。民間企業は、学部卒業者は楽天グループ、大学院修了者はアクセンチュアがそれぞれ首位に。省庁への就職は、学部卒業者では外務省が最多。大学院修了者は経済産業省と農林水産省が首位だった。 ※回答者数は学部 1233人、大学院 2906人。弊紙8月号に全就職先一覧を掲載しています。 学部生:コンサル人気続く 博報堂、電通が上昇 学部卒業者の就職先企業のトップは楽天グループ(21年4月より楽天から社名変更)。前年度から人数を6人増やし、25人で2年連続トップとなった。前年度2位の三菱商事は2人減少し14人に。順位を5位に下げたが高順位を維持した。 コンサルティング企業は、人気は高いが変動が激しい傾向が続く。前年度4位だったデロイト トーマツ コンサルティングは、人数を3人に減らしランキング圏外に。同じく4
東大新聞の記者が東大のサークルの活動を体験、取材し、その魅力を伝える企画「サークルペロリ」。今回は東大生を中心とする文芸サークルである東京大学新月お茶の会(以下新月お茶の会)を訪れた。(取材・佐藤健) 扱うジャンルはミステリー・SF・ライトノベルなど。月1回ほど喫茶店で行う読書会の他、年4回『月猫通り』という会報の作成や、文芸イベントへの出店を行っている。『月猫通り』では毎回テーマを決めて行われる特集企画やリレー小説、創作小説などが掲載される。文芸イベントでは訪れた小説家や編集者と交流することもあるという。 部誌『月猫通り』の新刊(写真は新月お茶の会提供) 駒場Iキャンパスの学生会館307号室にある部室の壁際には大きな本棚が一面に置かれ、SFやミステリーなどの小説の他、過去の『月猫通り』が並んでいる。部室は会員が自由に訪れ、映画を見たり、作業をしたり、小説について話したりと気ままに使用して
東京大学新聞社は3月28日〜4月1日、東大の全新入生を対象にアンケートを実施し、313人から回答を得た。アンケートは毎年新入生の入学時期に行っており、受験や大学生活、進路への意識や社会問題への賛否などを質問している。昨年との比較などから、今年の傾向を分析した。(本文中の割合は小数第1位を四捨五入)(構成・松本雄大) ワクチンの接種 学内で3回目の接種を行うか聞くと、「接種する」と回答したのは20%にとどまった。「学内ではなく、他で接種する」と回答したのは40%、「ワクチンを接種しない」は10%だった。 東大の学生男女比 本年度の東大合格者(帰国・推薦含む)に占める女子の比率は20.8%だった。東大で学生の男女比が約8:2になっていることについて尋ねると、62%が「問題だ」と回答し、昨年と比べて15ポイント増加した。「問題ではない」と回答したのは21%、「興味がない」と回答したのは14%で、
東京大学で哲学の研究をする國分功一郎教授(東大大学院総合文化研究科)。初年次ゼミナール文科などの授業を担当するだけでなく『暇と退屈の倫理学』(新潮文庫)を執筆するなど、東大を代表する文化人の一人だ。学生時代のサークル活動、フランスでの留学生活について聞くとともに「伝説の文化祭」を作ることに対する思いを聞いた。(取材・川端萌) サークル一筋の大学生活 「とにかくしゃべっていた」 ──大学時代はどのようなサークルに所属していましたか 「早稲田大学政治経済攻究会」というサークルに所属していました。歴史の長いサークルで、後輩には政治学者の白井聡さん、先輩には経済学者の水野和夫さんがいます。政治や経済に関する本を読み、議論をしました。今とは違い、当時は授業に出ないことが一般的で。僕も授業には出ずにこの攻究会にこもって毎週勉強会を開いていました。部室に行くといつも誰かがいて、話をするわけです。卒業した
東大は新年度に合わせ、本年度以降のオンライン授業の履修に関する注意事項を発表した。授業実施形態を五つに区分し(表)、このうち「オンライン授業」とされる三つについて学部学生が卒業要件に算入できるのが60単位までとなる。法令に準じ、オンライン授業などの扱いを東大として定めた形だ。新型コロナウイルス流行下の過去2年間に開講されたオンライン授業は、対面授業として扱われる。 (表)授業実施形態 前期教養課程と後期課程の全体を通じて、卒業要件に算入できるオンライン授業の単位数が60単位までとなる。本年度の1年生は、両課程を通じて上限を超えないよう全学で調整を行っていくとした。具体的な調整はこれからだが、各課程でそれぞれ30単位以内の配分にする予定だという。オンライン授業の教育的効果などを十分に検証できていないとして、カリキュラムの中でどの授業科目をオンライン授業とするかはこれから検討される。 2年生以
東大で30年以上国際政治研究に携わり、東南アジアのナショナリズム、民主化から国際秩序に至るまで活発な議論を展開してきた藤原帰一教授のロングインタビューを2回に分けてお届けする。前編では、藤原教授に自身の学生生活や研究内容の展開、現地調査での経験などについて聞いた。 (取材・円光門、撮影・中井健太) 藤原帰一(ふじわら・きいち)教授(法学政治学研究科) 米イエール大学大学院政治学研究科博士課程留学を経て、84年東大法学政治学研究科博士課程単位取得退学。東大社会科学研究所助教授(当時)などを経て、99年より現職。著書に『平和のリアリズム』(岩波書店)、『国際政治』(放送大学教育振興会)、『不安定化する世界——何が終わり、何が変わったのか』(朝日新書)など。 【インタビュー後編はこちら】 「恐怖の中で思考し続けることが国際政治の分析だ」藤原帰一教授 退職記念インタビュー【後編】 ──1975年
ロシアのウクライナ侵攻によって世界はどう変わるのか。国際政治研究はどうあるべきなのか。東大で30年以上国際政治研究に携わり、今年度で東大を退職される藤原教授のロングインタビュー後編。 (取材・円光門、撮影・中井健太) 藤原帰一(ふじわら・きいち)教授(東京大学大学院法学政治学研究科) 米イエール大学大学院政治学研究科博士課程留学を経て、84年東大法学政治学研究科博士課程単位取得退学。東大社会科学研究所助教授(当時)などを経て、99年より現職。著書に『平和のリアリズム』(岩波書店)、『国際政治』(放送大学教育振興会)、『不安定化する世界——何が終わり、何が変わったのか』(朝日新聞出版社)など。 【インタビュー前編はこちら】 「アイデンティティへの疑問がナショナリズム研究につながった」藤原帰一教授 退職記念インタビュー【前編】 ──今回のウクライナ侵攻で、ロシアに対する大規模な経済制裁が行われ
東大は3月11日、指導学生の博士論文の下書きを第三者に指示または依頼していたとして、60代の大学院教授に対して諭旨解雇の懲戒処分を行った。同日、東大本部広報課が発表した。 懲戒処分を受けた大学院教授は、自身が指導していた大学院生の博士論文執筆に際し、他大学在籍時に大学院生として指導していたA氏に論文の下書きの一部を作成するよう指示または依頼を行った。A氏は大学院教授の指示または依頼を断り続け、A氏の下書きに基づく論文が提出されることはなかったという。大学院教授からA氏に対する指示または依頼は2カ月間に及んだというが、具体的な回数や問題発覚の経緯については不明。 大学院教授の行為は東大の教職員就業規則第38条第5号に定める「大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけた場合」に該当するとされ、諭旨解雇の懲戒処分が下された。東大の教職員就業規則には6種類の懲戒処分が定められており、今回の諭旨解雇は懲戒
近年、メディアでHSP(Highly Sensitive Person)という語を目にする機会が急速に増えた。インターネット上ではHSPセルフ診断や、HSPの人の特徴などのHSPに関する情報があふれ、正しい情報を見極めるのが難しくなっている。HSPとは何なのか、なぜ急速にHSPという概念が普及したのか、心理学が専門で、環境感受性理論の発達心理学的研究を行っている飯村周平特別研究員による論考だ。(寄稿) 日本で加速する「HSP現象」 HSP(エイチ・エス・ピー)という言葉をご存知だろうか? Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字をとった言葉だ。世間では「繊細で生きづらい人」という意味で使用されることが多いらしい。2022年現在、この言葉が日本で急速に広まり、市民権を得つつある。 言葉のルーツをたどると、HSPとは、もともと1990年代にア
近年、社会問題としての教育格差が話題になることが増えている。子どもの生まれという本人にはどうすることもできない初期条件によって教育の結果に差が生じてしまうこの問題は、東大でも顕著な形で現れているのではないか。受験を巡る問題について社会問題といった角度から考え直す。(取材・川田真弘) 教育格差とは何か 「東大生の親の6割以上は年収950万円以上」。このフレーズをどこかで聞いたことのあるという人も多いのではないだろうか。東大が行った「学生生活実態調査」(2018年)によれば、世帯年収が950万円を超える家庭は回答者全体の60.8%に上る。経済的に裕福な家庭の生徒が東大に進学している様子が見て取れる。 同じ資料によれば、実家の所在地について、東大生の7割近くが東京を含む関東にあると回答している。東大を身近に感じやすい関東地方の高校生に比べて、地方の高校生はそもそも東大が現実的な選択肢となりにくい
東大理学部情報科学科でコンピュータサイエンスを学び、現在はLINE証券のフロントエンドエンジニアとして働く鈴木僚太さん。学生時代に学んだことや現在の業務内容、就職先選びで重視したことなどについて語ってもらいました。 LINEはエンジニアとしてストレスなく働ける会社 ──大学時代はどのような学生でしたか 学部では理学部情報科学科に所属していて、そこから大学院情報理工学系研究科に進み、コンピューター科学を専攻しました。情報理工学系研究科を選んだのは、小学生の頃からプログラミング好きだったことが影響しています。何を研究したいのかについて考えたとき、もっとも興味があるのはプログラミングで、コンピューターをもっと勉強できるところに行きたいという思いから、情報理工学系研究科を選びました。 大学院の研究室で取り組んでいたのは言語処理系です。その中でプログラムを実行せずに問題を発見する静的解析についての研
「この世界において、すべては、一巻の書物に帰着するために存在する」。19世紀フランスの詩人ステファヌ・マラルメの言葉だ。この一文でさえその真意を理解しようとすれば万巻のマラルメに関する研究書や論文が必要だろう。だが紙幅と何よりも能力の問題から、ひとまず学生が教科書の偉人の肖像に落書きをするような気ままさで、この言葉を次のように読み変えながら本の世界の広がりについて考えてみたい。「一冊の書物すら、達するためには世界の全てが必要だ」と。 (構成・渡辺明日翔) 本から本へと「渡り読む」ことの意味 外国語の書籍を考えるのが最も分かりやすい。今、目の前に戯曲『リチャード三世』の原書があるとしよう。この15世紀イングランド宮廷の、権謀術数が張り巡らされた政争を題材に採り1世紀後のシェイクスピアが執筆した作品を、21世紀に生きる日本人がそのまま理解できるだろうか? いや、まずは辞書が必要だろう。それも、
東京大学新聞社は各学部・研究科への問い合わせを基に、2020年度卒業・修了者の就職状況を集計した。民間企業は、学部卒業者は楽天、大学院修了者はソニーがそれぞれ首位に。中央省庁への就職は、学部卒業者が財務省と総務省が同率1位。大学院修了者最多は経済産業省だった。 ※回答者数は学部卒業者1131人、大学院修了者2820人。弊紙8月号に全就職先一覧を掲載しています。 学部生:三菱商事、野村証券なども順位を上げる 19人で学部卒業者の就職先企業トップに立った楽天は、前年度・2018年度にそれぞれ9位(11人)・10位(9人)だったところからの躍進が目立つ。2位は三菱商事で16人。こちらも前年度13人で6位だったところから順位を上げた。 14人で同率4位だったのがデロイトトーマツコンサルティングとマッキンゼー・アンド・カンパニー。前年度はそれぞれ10位と15位だった。同じコンサルティング企業でも、前
AI時代における外国語学習の意義とは? 漫画機械翻訳エンジン開発者と言語学者に聞く機械翻訳と外国語学習のリアリティー 近年、機械翻訳技術の発展が目覚ましい。これまでに膨大な時間を英語学習に費やしてきたにもかかわらず、英語を理解するために Google 翻訳やDeepL といった機械翻訳ツールに頼っている学生も多いだろう。機械翻訳とは何なのか、そして外国語学習にどのような影響をもたらすのか。漫画専用機械翻訳エンジンの開発を手掛ける Mantra株式会社創設者の石渡祥之佑さんに機械翻訳の仕組みや用途などについて、言語学や言語教育を専門とし機械翻訳と言語教育の関係などを研究するトム・ガリー教授(東大大学院総合文化研究科)に機械翻訳が存在する中での外国語学習の意義や日本の外国語教育の課題などについて取材した。(取材・弓矢基貴) ニューラル機械翻訳を漫画に応用 石渡 祥之佑(いしわたり・しょうのすけ
*情報は2021年7月5日のものです。最新の情報はこちら 東大は7月5日、新型コロナウイルスワクチンの学内接種を当初の予定通りには行えず、計画を大幅に見直すと発表した。学生・教職員に対し「早めの接種が可能であれば、自治体等での接種も」検討するよう呼び掛けている。政府が6月25日に職域接種の新規申請の受け付けを停止したことを受け、国に東大へのワクチンの供給数を再度確認したところ、当分の間安定的な供給を受けられないと分かり、計画を大幅に変更したという。 東大が、学生・教職員へのワクチン接種を7月上旬から本郷キャンパスで開始すると最初に発表したのは6月16日。東大は、東京大学新聞社の取材に対し25日「接種希望調査をもとに、希望する学生、教職員等すべてが本学で接種を受けられるようにワクチンの確保を進めています」と回答しており、1日から学部生の接種予約を開始すると通知した30日時点でも「予約枠は、接
2016年、「保育園落ちた日本死ね!!!」という言葉がユーキャン新語・流行語大賞を受賞するなど、待機児童問題が大きな注目を浴びた。あれから5年、現在の日本の保育園事情はどうなっているのか。東大のキャンパス内には自治体保育園を利用できない学生・教職員向けに、保育園が設置されている。学内保育園設立の主体となった東大男女共同参画室と、実際の利用者へのインタビューを基に、その実態を探る。(取材・松崎文香) 激しい「保活」の戦い 大学の取り組みは 親が子供を日中施設に預ける際、主な選択肢には認可保育園、幼稚園、認定こども園などが挙げられる。これらの他に企業や大学といった事業所内に設置された保育施設や、「東京都保育認証保育所」などの自治体独自の施設、その他の認可外保育施設を利用することもできる。幼稚園が教育を目的とする施設であるのに対し、保育園は仕事や介護などで保護者が保育することができない子どもを、
こんにちは、五十嵐祐花と申します。私は2020年度に東京大学理学部情報科学科を卒業し、マサチューセッツ工科大学(MIT)コンピュータサイエンス学科の博士課程(Ph.D.)に入学しました。入学から現在に至るまで、安全で高性能なAIの学習環境を様々なハードウェアに提供するプログラミング言語を研究・開発しています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、秋学期・春学期を全てオンラインで過ごし、Ph.D.生活の1年目を終えようとしているところです。今回は機会を頂き、コロナ禍での留学先での生活やその中で考えたことについて寄稿させていただいています。 MIT Ph.D.課程を選択したわけ アメリカ大学院留学を決意し、MITに来た一番大きな動機は、コンピューターサイエンスの分野で世界一の場所に来て、どんな世界が見えるのか、自分がどう成長するのか、知りたかったからです。世界トップの大学でストレスで死にそうにな
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