今日は秋になると思い出す、ある人のことを書き記しておきたいと思う。秋になると思い出す、というか、ふとした時にいつも思い出しているが、わたしはその団地で過ごす秋が大好きだったので、この季節になると思い出が色濃く蘇るのかも知れない。 わたしが昔住んでいた団地の同じ棟の別の階に、おばあちゃんと、おじさんと、お孫さんの3人家族が住んでいた一室があった。わたしが小学1年生のころ、その家のお孫さんは中学生のお兄ちゃんだったと思う。その家のお兄ちゃんともおじさんとも喋った記憶は一切ないが、なぜかその家のおばあちゃんがわたしのことをとても可愛がってくれた。 「◯◯ちゃん」と、わたしの名を呼び、まるで本当のおばあちゃんのようだった。 いつも思い出すのは、そのおばあちゃんの家の台所のテーブルの椅子に座って、ごぼうのささがきを作っているのを、隣の椅子に座ってずっと見ていたことだ。テーブルの上のボウルの水の中に落