■文学の背後にある国民的テーマ それぞれの国には、近代文学の大きなテーマがある。例えば、日本近代100年の文学テーマは、私小説。その根本は、アジアのど田舎で極東と呼ばれる辺境の地で、近代化を試みようとするときに、個の自立がテーマとなる。 詳細の説明は、ここでは避けるが、ようは夏目漱石、森鴎外、二葉亭四迷、正岡子規、田山花袋、岡倉天心などなどの明治から昭和初期の文学者たちが悩んだ「こと」のことです。 一言でいえば、アジア的で科学も資本主義も個人主義も無い辺境の原住民が、近代化に目覚め、弱肉強食が極まり、負けイコール民族の滅亡・奴隷化という、人権もクソもない世界戦争の真っ只中に飛び込んだ、ちょんまげ姿の田舎モノが、不断の緊張と努力と狂気で、独立と誇りを守り抜くには、 「いったいどうすればいいのか?」 という悩みです。 一部の旧制高校・帝国大学を出たエリートは総人口の0.01%に満たないし、義務