「休暇を取ることは義務である」と題した異色の記事が、専門誌に掲載されている。筆者は名古屋大学で教鞭をとる労働法学者の和田肇教授。 これまで学生には「年次有給休暇の取得は、労働者の権利である」と教えてきたが、権利を行使しない弊害は社会的に大きいので、これからは義務と捉えなおして取得を促進すべきではないかと提言している。 「年休未消化」は労働社会を貧弱にし、雇用創出を阻む 提言を掲載したのは、労働政策研究・研修機構が発行する「日本労働研究雑誌」という専門誌。2012年8月号は「日本人の休暇」という特集を組んでいる。 和田氏は「年休権不行使」の弊害を3つあげる。1つ目は「休暇が貧弱な雇用社会では、労働社会もまた貧弱となる」可能性があること。年休の未消化は、文化の創造や自己啓発の機会を労働者から奪い、また労働者が放棄していることを意味するという。 2つ目は、「雇用の創出を阻んでいる」可能性があるこ