精神障害で自傷や他害の恐れがある人を警察が把握した際、保健所に知らせる「警察官通報」という制度がある。医療に適切につなげる狙いだが、警察から通報を受けた保健所職員らが現場に行かずに医師の診察を不要と判断し、入院にならないまま自殺に至るケースが起きていることがわかった。制度の適切な運用に向け、警察は今年、改善に動き始めた。 警察官通報制度は精神保健福祉法に基づく。警察関係者によると、昨年は全国で1万8611人分の警察官通報があった。最多は3013人の東京で、神奈川1612人、埼玉1419人、大阪1360人、兵庫1229人と続く。全国の通報は年々増加し、この5年間で約1400人増えた。 警察から通報を受けた保健所などの職員は、原則現場に行って対面し、医師につなげるか判断する事前調査を行う。厚生労働省がガイドラインで定める。夜間や休日でも職員が迅速に対応できるよう、態勢の整備も必要だとしている。