綾の照葉樹林は、宮崎県綾町にある日本最大級の照葉樹林だ。原生的な姿を現代に残し、照葉樹林を構成する高木25種のうち、24種が確認されている。長年この森に通って、さまざまな木々の表情を追い続けたネイチャーフォトグラファーの作品を紹介する。 輝く緑のコントラスト 宮崎県綾町には日本最大級の原生的な照葉樹林があり、「綾の照葉樹林」と呼ばれている。2012年に2000ヘクタールに及ぶこの貴重な森はユネスコの生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)に指定された。1986年、最初にここを訪れた時の印象は、「本当に多様な樹種が存在する豊かな森なのか」というものだった。なだらかな山を覆う暗い緑一色に見える森は、モコモコとした同じような木々の連なりにしか見えなかったからだ。時期が晩秋だったこともあり、樹種の葉の違いが全く分からなかった。この森はひたすら暗いという、気持ちまで重くなるような出会いだった。 ところが