近年、長引く不況の下で「ブラック企業」という言葉が流行している。ブラック企業とは、従業員に対して過剰なノルマを要求したり、低賃金で休みなく長時間労働をさせたりと、いわゆる「ひどい働かせ方」をさせている企業のことだ。 インターネット総合掲示板サイト「2ちゃんねる」には、「ブラック企業ランキング」というスレッドが存在し、その企業の従業員や退職者と思われる人による書き込みが頻繁に行われている。2012年11月には『ブラック企業 日本を食いつぶす妖怪』(今野晴貴著)という本が出版され、話題を呼んでいる。 いまや日常的に使われるようになった「ブラック企業」という言葉だが、ネット掲示板やブログ、SNSなどで特定の企業のことを「ブラック企業」と表現し、批判的な書き込みをすることは名誉毀損となるのだろうか。場合によっては、企業から損害賠償を請求される恐れがあるのか。大阪過労死問題連絡会の事務局長をつとめ、