大学へ行く棋士が増えている。しかし、大学に行くことは、将棋に費やせる時間が減ることにつながるはず。将棋の修行に直接役には立たないにもかかわらず、なぜ大学進学を選ぶのか? 観戦記者の松本哲平氏が、棋士と大学生という二重生活における難点を4人の棋士に聞いた。 取材したのは三段リーグ在籍中に早稲田大学社会科学部に出願した北浜健介八段、「東大生棋士」として話題になった片上大輔六段、2010年に王位を奪取し、初の大学生タイトルホルダーとなった広瀬章人七段(早稲田大学教育学部理学科)、そして大阪大学大学院文学研究科で博士前期課程に在籍する糸谷哲郎六段だ。 * * * 棋士と大学生の二重生活を送るうえでの困難として、4人は「対局と講義・試験が重なること」を一様に挙げた。特に順位戦は対局日が期の始めに決まり、日程を動かすことができないためさまざまな苦労があったようだ。 北浜八段は次のように語る。 「講義を