連休なので実家に帰ってみたら、母親が「これでも読むか?」と言って本を差し出してきた。何かと思って見てみたら「赤毛のアン」だった。良い年をした大の男に「赤毛のアン」を勧めるかねとも思ったが、それが面白いことは知っていたので素直に読み始める。読んで驚いた。やっぱり名作っていうのは1ページも読めばその価値が分かるというのをあらためて確認した。におい立ってくる。言葉の一つ一つからこれでもかというくらいに名作の強烈な芳香といったものが立ち上がってくる。これをかぐと、ぼくはいつだってくらくらとした感覚にとらわれる。 ところで、その中に興味深い、心惹かれるセリフがあったので、ちょっと長いけど引用します。 「マリラ、なにか楽しいことを待つときって、待つこと自体がすでに楽しいのよ。肝心のことが実現しないってこともあるかもしれないけど、待っているときの楽しみは誰にも奪われないわ。リンドのおばさんは『なにも期待