「下から見た小説」に映る新しい日本 2007年6月10日[中央公論]より 「ケータイ小説」が売れに売れ、ベストセラー小説部門ランキングの上位を独占する現象が続いている。読者は中高生から二十代前半の女性が中心。「ケータイ小説」は、携帯電話を使って執筆され、携帯サイト上にアップされ、携帯画面上で読まれる小説のことだ。そのうちの大ヒット作品が続々と書籍化され、『Deep Love』(Yoshi 著)、『天使がくれたもの』(Chaco 著)など、次々にミリオンセラー(一〇〇万部突破)が出ている。アメリカには携帯電話をめぐるこんな文化は存在せず、世界中を眺めても、日本発のまったくオリジナルな現象と言っていいだろう。 昨年末頃から、日本の出版社の方々とお会いすると必ず「ケータイ小説」が話題に上るようになった。ただでも本を手に取らない若者たちが、小説も携帯電話で読むようになった。本までもがいずれ不要にな