2019年のアカデミー賞作品賞を受賞した映画『グリーンブック』は、黒人ピアニストと白人運転手の友情を描いた作品だ。本映画に関してさまざまな意見があることは承知しているが、映像の美しさも含めて見応えのある作品だった。全編を貫いていたテーマは“Dignity(尊厳)”であり、特に黒人ピアニストであるドン・シャーリーが、次のセリフを言い放つシーンは印象的だった。 “You never win with violence. You only win when you maintain your dignity.” (暴力では決して勝つことはできない。尊厳を保ち続けたときのみ勝つことができる) このシーンを見ていて、自分が若い頃から大好きでずっと聴いている、Deacon Blueの『Dignity』という曲を思い出した。 長年地道に働いてきて、特に裕福でもなく、取り立てて言うほどの功も名もない男が、