南陽市出身、第三回「このミステリーがすごい!」大賞受賞作家の 深町秋生さんが、毎回、独自の視点で気になる漫画・お勧めのコミックをセレクト! 毎日暑いうえに仕事が忙しい。終わらない。死にそう。 せめてマンガぐらいは穏当なものを読んで、心を癒したいと思っていたのだが、手に取ったのはブラッディかつ残酷物語の職人・大西巷一のベストセラー『乙女戦争』(双葉社)だった。 表紙には、ドーンと画に描いたような(画に描いてるのだが)美少女。そんでもって乙女戦争というタイトル。話題にもなっているし、ちょっとは穏当な物語なのかなと思って、手に取ったのだが、まったくそんなことはなくハードコアな戦争&虐殺&無慈悲な物語だった。 時は15世紀初め。舞台はプラハ。神学者ヤン・フスが教会の腐敗を批判し、異端者として火あぶりにされた。それでもフスの教えは浸透し、信者の平等を説く「フス派」と、教会の権威を重んじる(調