また言う、これは傑作だ。構想が雄大だし、こちらに突き付けてくる問いも鋭い。人物たちも生き生きとしていて、どの人物にも肩入れしてしまう。遊佐総理、牛島大統領、兵頭局長、加藤医師たちの動きから目を離せないが、遊佐以外のもう一人の主人公と言える仁科ケンの人物像が魅力的だ。由基美や貴世、恵といった女性群もいい。遊佐も途中で、どうしちゃったのかという感じだったが、最後で思い切り力を発揮する。かっこいいぜ。 永遠の命を得られたらどうする?本当に幸せ?そんな人間ばかりになったら社会はどうなっていくのか?死があってこその人間?老化っていったいなに?独裁政治というのは可能か、有効か?それぞれが考えるべきことだろう。 この著者らしく、悲惨な結果にはならないが、一歩間違えば、どうなっていたか分からない設定である。実に面白かった。