『公研』2023年12月号「対話」 ※肩書き等は掲載時のものです。 ロシアとオランダは、同じヨーロッパにありながら対照的である。 今の時代に領土戦争を始めたロシアと先進的なオランダ。 この二つの国の違いの背景はどこにあるのだろうか? ペテルブルクとアムステルダム、革命、君主制などから考える。 千葉大学法政経学部教授 水島治郎 × 東京大学大学院人文社会系研究科(西洋史学)教授 池田嘉郎 ピョートル大帝はアムステルダムの造船所で働いていた 水島 本日は「ロシアとオランダ──ヨーロッパの東と西、大国と小国」と題して、ロシアとオランダという、ある意味で対極にある両国を比較しながら、その違いの背景などについて考えていきたいと思います。 オランダの人たちがロシアを思い浮かべたときに真っ先に出てくる歴史上の人物は、ピョートル大帝(1672年─1725年)だろうと思います。ピョートル大帝は、初めてオラン