ヴェラスケスは写真のように退屈である。 “エル・プリモ”の魅力を解明する * いちばん楽しめたのは、他の画家たちとは違うヴェラスケスの細密描写で、近づけば乱暴なタッチ、遠ざかればリアル質感が浮かび上がる。なんとも魔法にかかったような気分で、いい加減楽しんだあと、次の部屋に行こうと部屋全体を見渡せば、一瞬、ヴェラスケスの絵はまるでカラー写真のように見えた。 いったんカラー写真に見え始めると、いくら、ヴェラスケスの名画だと自分に言い聞かせても、無駄だった。私たちの目は写真的図像にならされてしまっており、もう、写真の誕生以前には戻れないのだ。 そんな経験があったので、今回のプラド美術館展に行くのはあまり気がすすまなかったが、道化の”エル・プリモ”がやってくるというので、その絵を見るだけでもと、いやがる女房を説得して、上野まで行ってきた。 道化の”エル・プリモ”は、図像論を書くために是非とも見てお