哲学思考トレーニング (ちくま新書 (545)) 伊勢田 哲治 前回読書メモは取ったこの本だが、論文執筆や議論の際に非常に有用だし、http://d.hatena.ne.jp/terracao/20080316/1205667545のような記事が非常にブクマを集めているから、需要はあると思って、ここでまとめることとする。しかしながら、思うにあのような妥当ではない論証パターンを九九のように覚えてもたぶん一般の人にはそれほど有用ではないと思う。というのは、語学を勉強するのと同じように、論証の妥当性を検討する能力を鍛えるには、実際の議論において前提と結論を形式化して、その妥当性を問うという実地での訓練がどうしても必要なものだ。後件肯定や前件否定が非妥当な推論で、肯定式や否定式が妥当な推論だと、話の上で分かっていても、日常での議論のどれがそれらの推論にあたるかどうか、形式化できなくては意味がない。