鳩山首相が辞めた。両院議員総会でのよどみないスピーチはもっともらしい内容だったが、放り出したことには変わりない。安倍、福田の2人の総理が無責任にも辞めたのと同じではないか、というそしりは免れないだろうが、苦々しいことに選挙戦略としては理にかなっている。 自民党は舌打ちをしているだろう。「政治とカネ」のイメージにまみれた鳩山、小沢の体制のまま参院選を迎えるほうが、野党は戦いやすかった。去年の総選挙で麻生自民党に民主党が大勝したのと同じ構図だ。だから鳩山首相も、辞任のスピーチで「これで民主党はクリーンになる」とくどいほどに強調した。 実際には、首相と幹事長が辞めただけで政治がクリーンに、民主党がクリーンになるわけではまったくない。これで政治倫理審査会での議論もなく、政治とカネの問題は返ってうやむやになる。普天間問題の迷走が「なかったこと」になるわけでもない。選挙戦略としては理にかなっているが、