脳性麻痺による身体障害を持つ熊谷さんは幼い頃から、「健常者にしたい」という親の願いを受け、時には怪我をしてしまうほどの厳しいリハビリを強制されてきた。 「絵本の最後で、こうきさんがひとりぼっちになった時の解放感は、私の体験とすごくつながります。私も18歳で家を出なければ、この親に愛情で殺されると思っていました」 一人暮らしをし、それまでは自宅で親が全て助けてくれた入浴や排泄も思うようにできない不便さはあったが、それでもその時の例えようのない解放感は忘れられない。 「依存先がへその緒のように一か所しかないところから、それをブチっと切ってみたら、ナウシカに出てくる王蟲の触手ではないですけれども、社会の色んなところから細いへその緒みたいなものが自分につながってきた。それを一人暮らしの生活が予感させたんですね」 「へその緒を切ったおかげで触手が色んなところからうわーっと伸びてきた。むき出しで困って