福島第1原発事故で警戒区域に指定された町に取り残された犬が、7カ月半ぶりに避難生活を送る家族の元へ戻った。飼い主の天野八枝子さん(61)=福島県双葉町=は「一時はあきらめていたので、まるで夢のよう」。仮設住宅のアイドルとして、みんなにかわいがられている。 雑種犬の「ジロー」(2歳、オス)は、天野さんが09年4月に知人から3000円で譲り受け、夫(73)が尊敬する実業家の白洲次郎氏にちなんで命名。天野家の番犬としてかわいがられてきた。 東日本大震災発生翌日の3月12日に自宅から避難する際、「3、4日で帰れる」と思った天野さんは、約5日分のえさと水を置き、ジローを庭の犬小屋へつないだままにしてきた。ところが原発事故で避難は長期化。約1カ月後に隣人が帰宅した際、ふらふらで立つのがやっとのジローを見つけ、つないだロープを切って放してやった。 天野さんが初めて一時帰宅したのは6月だった。「もう野良犬