先日から、有名剣道家の不祥事が伝えられた。「剣道は人間形成が目的なのに・・・」という論評が聞こえてくる。しかし、批判を恐れずに言えば「武道によって人間形成がなされる」というのは錯覚だ。さらに正確に言えば、「武道の技術性の修練によって人間形成をがなされる」ことはない。 武道(剣道)の修練によって形成される人間とは、どのようにイメージするであろうか。「武士的な人格」というようにイメージするかもしれない。武道を真面目に取り組むことによって「道徳的精神性」や「伝統的行動様式」が身についた武士のような人間をイメージするであろう。ところが、武道の修練によって、そのような人格が形成されるのではない。昔の武士は、生まれながらにして「武士的な人格」が形成されるように教育を受けていた。「武士的な人格」を持った人間が剣術(剣道)などの武道を修錬していたと考えるのが自然である。 「武道をすれば人間形成がなされる」