2024-05-23 九州大学 農学研究院 片山 歩美 准教授 ポイント 近年、日本全国でシカの個体数が増加し、森林では高強度な植生採食によって下層植生(※1)の衰退、不嗜好性植物の増加、裸地化など様々な森林構造の変化が生じています。 九州大学宮崎演習林(椎葉村)の山岳林において、高強度のシカ採食によって森林構造が変化した林分で炭素の蓄積量を計測したところ、シカ採食の影響を受けない林分に比べ炭素蓄積量(※2)が最大で約半減することが明らかになりました。 本研究成果は日本の森林で深刻化するシカの植生採食が、森林の二酸化炭素の貯留機能を劣化させることを初めて示しました。本研究は、将来の気候変動を緩和させるためにもシカの食害対策が重要であることを示しています。 概要 森林生態系は二酸化炭素の吸収し、蓄えることで気候変動緩和に貢献することが期待されています。しかし、日本の多くの天然林では現在、個体