小林 節(こばやし・せつ)氏 憲法学者、慶應義塾大学教授、弁護士。日本海新聞・大阪日日新聞客員論説委員。近著『「憲法」改正と改悪』など著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同) 小林 憲法は国民の幸福を追求するための基本法ではないかと言う方がいます。大きな目標としてはその通りです。 そもそも成文憲法というものは、アメリカの独立戦争から生まれました。主権者たる国民が幸福に暮らすために国家があり、その国家には管理人としての政治家以下公務員が必要で、権力を握る彼らは国民の幸福追求を支援しなければならない。 その際、権力は間違っても濫用されてはいけないのですが、歴史を振り返ればそれが必然であるかのように濫用されてきました。そこで国民が権力を管理するためにあるのが憲法というものです。 つまり憲法の大目標は国民の幸福追求ですが、ひとつの側面として権力者の暴走を防ぐ機能を持つということだと思います。 私が