新型コロナウイルスのまん延で、息をひそめていたかのような国際政治だったが、昨年以降、二つの大きな動きがあった。ひとつは現在進行形のロシアのウクライナ侵攻で、もうひとつは昨年8月、米軍撤退直前のアフガニスタンでのタリバン政権復活である。9・11後の20年、否、冷戦後の30年に築いたものをひっくり返す、大事件だ。 この二つを並べると、歴史の連鎖が浮き上がる。タリバン政権の再生は、20年前に米国がアフガニスタンに軍事介入=1=し、武力でタリバン政権を倒して親米政権を樹立した、その努力が水泡に帰する出来事だった。その結果、米国は中東から引き、代わってロシアが存在感を増した。ウクライナ侵攻は、その流れのなかにある。