実用の文字から離れ「美化された文字」を書というなら、時空の書とも捉えられます。つまり書家が大きな毛筆を使って空間に放り投げた墨と水を、超高速カメラが瞬間を切り取ることで、このアートは成立する。 水墨という液体を利用し書道家が描く一瞬の水墨の彫刻、瞬間的に生まれた墨の痕跡を表現した彫刻だ。書は紙に毛筆を押しつけたりひいたり手を空間に動かす。つまりもともと書は三次元に書いていたのだ。その結果は、平面に墨の痕跡は残る。毛筆はペンのように手のひらの一部を紙に固定して書かない。それを書として我々は、書家の生み出した筆圧や擦れなどを見ながら、書かれたプロセスを想像しながら楽しんできた。