難病の長男の求めに応じて殺して執行猶予となった妻(当時65)から「死にたい」と頼まれて殺害したとして嘱託殺人罪に問われた神奈川県相模原市、運転手菅野幸信被告(66)が5日、横浜地裁で懲役3年執行猶予5年を言い渡された。 「妻の最期の表情は、本当に楽そうだった。息子のところへ足早に行ったかのように思いました」。菅野被告は2月の被告人質問で話した。穏やかな口調だった。 死を望む妻と、引き留め続けた夫。3回の公判で明らかになった本人や家族の証言からは、苦悩し続けた夫婦の姿が浮かび上がる。 昨年10月12日未明。菅野被告は相模原市の自宅で初子さんと向き合った。この夜、初子さんは布団に包丁を持ち込んでいた。「もう限界。一両日中に絶対にやるからね」。菅野被告に訴えた。 初子さんは有罪判決を受けた後、執行猶予中の06年に自殺を図るなど、長男と一緒に死ねなかったことを悔やみ続けていた。菅野被告もま