ご褒美としての留学 かつて私の勤め先では、若手・中堅社員を海外の大学に留学させてMBAの取得や専門分野の修士・博士課程を履修させるプログラムがありました。もっとも“枠”が決まっているため、手を挙げれば誰でも留学出来るわけではありません。プログラムの応募にはTOEFLの成績や小論文などの予備選考はありましたが、それよりも上司の推薦状が物を言いました。結局は、潜在的な学力よりも上からの覚えの良し悪し次第だったので、選考から漏れた者としては不満が募ります。 社費で留学できることは、若くて向上心のある社員にとっては魅力的だったのでしょうが、上の人間の中には、それを“エサ”と考える者が少なからず存在しました。留学をエサに同じ部内の若手社員を競わせたり、気に入らない部下には推薦状を書かなかったりと、社員育成の本来の趣旨とは違う利用のされ方も散見されました。 留学を終えた社員は、職場復帰後の配属でも優遇