ブックマーク / paperwalker.hatenablog.com (19)

  • だれも買わない本は…… - 何を読んでも何かを思いだす

    編集者でライターの都築響一さんにこんなタイトルのがある。 『だれも買わないは、だれかが買わなきゃならないんだ』(晶文社、2008) 内容は書評と、や書店に関するエッセイなのだが、とりあえずそれは置いといてこのタイトルがすばらしい。 すばらしいのでもう一度言おう。 だれも買わないは、だれかが買わなきゃならないんだ。 屋に行くと、無数と言ってもいいくらいのが並んでいる。しかし、当然ながら、すべてのが等しく売れるわけではない。 ベストセラーとして華々しく平台に積まれているがある一方、目立たずにずっと棚に差されているもある。いや、そういうがほとんどだと言っていい。 売れなかったはどうなるか。 たいていの新刊書店は委託販売の形をとっているので、一定期間売れないは出版社に「返」されて倉庫などに保管される。しかしそれもずっと置いておくわけにはいかないので、やがては処分されてしま

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    suoaei 2021/11/04
  • 漢詩でララバイ - 何を読んでも何かを思いだす

    二十代の頃、ちょっと荒んだ生活をしていた時期がある。 といっても悪い事をしていたわけではなく、ほとんど無職でぶらぶらしていただけなのだが。 その頃の一日はだいたい午前10時とか11時ぐらいから始まる。とりあえず飯をったら、さて、今日は何をして時間を潰そうかと考える。 考えるといってもだいたいやることは決まっていて、多少お金がある時(ときどきは日雇いの派遣の仕事をしていた)はパチンコに行く。お金がない時は図書館か、ブックオフで漫画の立ち読み。外に出るのも億劫だったり、雨が降ったりした時には家にこもって一日中テレビを見る。たいていこの三つのどれかだった。 そうやって毎日をやり過ごしていた。 こういう生活の常として、寝る時間がどんどん遅くなる。 眠くないというわけではない。でも眠りたくなかった。 夜中、ときには明け方までだらだらとテレビを見ていた。リアクションが大きい外国人のテレビショッピング

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    suoaei 2021/09/11
  • 「草とり」 - 何を読んでも何かを思いだす

    ぼんやりラジオを聴いていると、徳冨蘆花の「草とり」という随筆の朗読があった。 気になって調べると、「青空文庫」に入っていたのであらためて読んでみる。(以下、引用は青空文庫版。ただし、仮名遣いや表記は適宜変更した) 六、七、八、九の月は、農家は草と合戦(かっせん)である。(中略)二宮尊徳の所謂「天道すべての物を生ず。裁制補導は人間の道」で、ここに人間と草の戦闘が開かるるのである。 自然は自然のままにいろいろな物を生じさせるが、人間はそれをうまくコントロールしなければならない。 田畑の雑草もそうで、自然のままに放っておくと作物が良く成長しない。だから絶えず雑草を取り除く必要がある。 たかが草取りと馬鹿にしてはいけない。 これも立派な「自然との闘い」なのである。 蘆花は後年、「美的百姓」と称して自らも田畑を作る半農生活をした。 「美的百姓」というのは、趣味的というか、アマチュアの農業者といった意

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    suoaei 2021/08/29
  • この本(本好きのための童謡) - 何を読んでも何かを思いだす

    好きのための童謡です。 童謡「この道」(作詞・北原白秋、作曲・山田耕筰)のメロディにのせて読んでください。(「この道」がピンとこない人は、下の方に曲を引用しているので参照してください) では、どうぞ。 このは いつか読む ああ そうだよ だけどいまは 床に積んでる あのは いつか見た ああ そうだよ 家のどこか 埋もれてるはず このは いつ買った ああ そうだよ 同じが 三冊もある あのは いつか読む ああ そうだよ その「いつか」が 来ることはない (参考) www.youtube.com

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    suoaei 2021/08/24
  • 人まかせ - 何を読んでも何かを思いだす

    前回、ショーン・バイセル『ブックセラーズ・ダイアリー』というについて書いた。 著者はスコットランド最大の古書店「ザ・ブックショップ」の店主なのだが、その店でちょっとおもしろいサービスを行なっている。 それは「ランダム・ブッククラブ」というもので、年会費59ポンド(1ポンド=約150円として約8850円)を払ってクラブの会員になると毎月1冊古書が送られてくるという企画である。 おもしろいのは、会員は送ってもらうに対して一切リクエストをすることができず、バイセル氏自身がランダムにを選んで送るというところだ。 ジャンルも選択できないので、普段小説しか読まないような人にノンフィクションが送られてきたり、歴史関係のしか読まない人に詩集が送られてきたりすることもあると思う。というか、バイセル氏は意図的に送るのジャンルを散らしているようでもある。 「会員がみな並外れた好きであることは確かだか

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    suoaei 2021/08/20
  • イワシの梅煮 - 何を読んでも何かを思いだす

    休日。 午前中に銀行に行って、そのままスーパーで買い物。 最近すっかり夏バテなので、今日はとりあえず肉をべようと思っていたのだが、鮮魚コーナーで小イワシが10尾98円で売っているのを見かけて立ち止まる。や、安い。 これを3分とすると1あたり約33円、4にすると約25円。最近多静六のを読んで、財布の紐を締めようと思っていたところなのだ。 しかし今日は肉を……でも安い……頭付きは処理がめんどう……でも安い……時間が……でも安い……としばらく悩んでいたが、結局カゴに入れる。 家に帰ってさっそく料理にかかる。 いまからやると昼飯が少し遅くなりそうなのだが、すぐにやらないとめんどくさくなって、「やっぱり今日はやめとこ」といって冷凍庫に突っ込むことになるだろう。そして再び解凍される日が来るかどうか……。 まず、小さなイワシを一尾ずつ、包丁で頭を落として内臓を取っていく。 以前読んだ魚柄仁之

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    suoaei 2021/08/07
  • 運まかせ - 何を読んでも何かを思いだす

    例によって例のごとくブックオフを徘徊していると、文庫棚の近くにこんなものが売られていた。 たしか「お楽しみセット」みたいな名前がつけられていたと思う。文庫2冊で300円である。同様のものが20個ぐらい平積みしてあって、すでにいくつか売れているようだった。 というのは個人の趣味嗜好が強く出るものなので、こういう福袋的な売り方には向かない商品だ。 それに、こう言っては悪いけれど、どうせたいしたは入っていないだろうと思った。 たぶん少し前に話題になったようなエンタメ系ので、店の在庫がダブついているのでなんとか売ってしまおうという店側の苦肉の策ではないのか。 間違っても硬派な、例えば岩波文庫や講談社の文芸・学術文庫あたりが入っていることはないだろう。 と思ったにもかかわらずこうして買ってしまったのは、中を確かめたいという好奇心もあるけれど、ブログのネタになると思ったからだ。 ブログを始め

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    suoaei 2021/08/03
  • 蓄財について - 何を読んでも何かを思いだす

    多静六『私の財産告白』(実業之日社文庫、2013 / 実業之日社、1950)というを読んでいる。 著書は林学(森林や林業に関する学問)の学者なのだが、その業以上に投資家として、また蓄財術に関するの著者として知られた人だ。 このも、著者の実際の経験に基いて、いかに財産を築くか(築いたか)を語ったものである。 こういうのはともすれば「成功者」のただの自慢話と思われやすい。とくに日人は正面からお金の話をするのを嫌う傾向がある。 しかも学者が蓄財の話をするというのは、一般的なイメージに合わないかもしれない。学者はお金などに頓着せず、ひたすら学問に没頭するもので、むしろ「清貧」の方が似つかわしいというのが学者のイメージではないだろうか。 もちろん著者もその辺のことは十分に承知しているが、それでもはっきりとお金の話をする。 (……)財産や金銭についての真実は、世渡りの真実を語るに必要欠

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    suoaei 2021/07/29
  • 味噌、白秋、台湾藻 - 何を読んでも何かを思いだす

    スーパーで買い物をしているとき味噌が切れていたのを思い出して、いつも買っている味噌を手に取ったのだが、ふと思いなおしてそれを棚に戻した。 今日は普段買わない味噌を買ってみようと思ったのだ。 いままで使っていた味噌は大手メーカーのだし入り味噌で、ずっとそればかり買っていた。簡単に使えて過不足なくおいしいので定番にしていたのだが、最近なんだか生活に倦怠感があるのでちょっと気分を変えたくなったのである。 あらためて棚を見てみると、けっこういろいろな味噌が並んでいる。 しかし私は(たびたび書いているように)「貧乏舌」なので、あまり微妙な味の違いなどわからない。味噌の違いなんて、そんなにはっきりわかるものだろうか? そう思うと、どれでもいいような気がしてきて逆に選べなくなる。 ふと『白秋』という名前が目にとまった。 手に取ってラベルを見ると、福岡の柳川市にある「鶴味噌醸造」というところが作っている味

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    suoaei 2021/07/21
  • 絵葉書を読む(その8) もんぺ - 何を読んでも何かを思いだす

    『絵葉書を読む』第8回。今回の絵葉書はこちら。 『モンペ』(中原淳一) 「もんぺ」は、主に農山村の女性の仕事着として古くからあった袴状の着物である。(名称や細部の仕様は地域によって異なる) この「もんぺ」が広く全国的に知られるようになったのは戦時中のこと。 いわゆる戦時体制になると、女性の和装が非活動的であるとしてその改革が議論されるようになった。その改革案の一つとして「もんぺ」が奨励されたのである。 もっとも昭和10年代の前半においては、奨励されただけで義務化されたわけではない。都市部の女性からの評判も悪く、実際にはあまり着用されなかったようだ。 しかし太平洋戦争が始まり、生活が次第に困窮してくると、男性の「国民服」と同じように女性は「もんぺ」を着用することが義務のようになっていった。私たちは、戦時中の女性は常にもんぺ姿のようにイメージしがちだが、それは戦争も後半になってのことだ。 画像

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    suoaei 2021/07/15
  • お金の話 - 何を読んでも何かを思いだす

    私の両親は、子どもの前でお金の話をしなかった。 いや、姉に対してはどうだか知らないが、少なくとも私の前ではしなかったし、するべきではないと思っていたようだ。 私は「末っ子の長男」として激甘に育てられたので、なにか欲しい物があると(高価な物でなければ)割と簡単に買ってもらえた。 家が裕福だったわけではない。むしろ家計はけっこう苦しかったはずだ。 それなのに、あるいは、それだからこそ両親は、私にお金のことで「弱み」を見せたくなかったのかもしれない。子どもにお金の不自由を感じさせないということが、親としての矜持だったのかもしれない。 しかしその結果、私はお金についてあまりよく考えることなく大人になってしまった。 お金を稼ぐこと、使うこと、貯めること、そういうことを学ぶ機会がほとんどなかった。 なによりお金のありがたみや怖さというものを知らなかった。 それで大人になったのだから、苦労しないほうがお

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    suoaei 2021/07/08
  • 《日本の文学》第1巻『坪内逍遥・二葉亭四迷・幸田露伴』(その1) - 何を読んでも何かを思いだす

    以前予告していたように、中央公論社が昭和39年から45年にかけて刊行した日文学全集《日の文学》を読み始めた。 paperwalker.hatenablog.com 第1巻(第71回配、昭和45年)には、坪内逍遥、二葉亭四迷、幸田露伴の3人の作品が収録されている。(ちなみに「解説」は伊藤整) 最初の坪内逍遥は『一読三嘆 当世書生気質』(1885-6・明治18-9年)が収録されている。 さっそく読み始めた……のは、実は5月の初め頃。読み終わるのに2ヶ月近くもかかってしまった。 『書生気質(かたぎ)』は二段組で170頁ほど、岩波文庫版なら(注釈や解説を含めて)320頁ほどの小説で、それほど長いというわけではない。いくら私が遅読で、ほかのと併読していたからといっても、時間がかかり過ぎている。それは何故か。 文章が古くて読みにくかったからだ。 どういう文章か、試しに編の最初の方を引用してみ

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    suoaei 2021/07/04
  • セルフ・レジ - 何を読んでも何かを思いだす

    とあるスーパーでレジに並んだところ、そこのレジがセミ・セルフ式(商品をレジに通すのは店員で、支払は客が機械で行うタイプ)に変わっているのに気づいた。 そのスーパーは毎日行くところではなく、10日か2週間に一度ぐらいの頻度で行っているのだが、前回来たときにはまだ普通のレジだったので、「ああ、ここもついに……」と思った。 私の前に並んでいたお婆さんはレジが変わったことに気づいていなくて、店員が「2番(の機械)でお会計をお願いします」と言ったのに、いままでと同じようにレジのトレイにお金を載せたので、説明係として近くに控えていた別の店員がやってきて使い方を説明していた。 お婆さんはおどおどしたような、恐縮したような様子で、ちょっと気の毒な気がした。 そこはけっこうお年寄りが多く利用しているようなので、しばらくはこんな感じなんだろうなと思う。 私がほぼ毎日通っているスーパーは、何年か前にセルフ・レジ

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    suoaei 2021/06/29
  • 「いざ」というとき - 何を読んでも何かを思いだす

    昨年の春頃、ひょんなことから3万円分の「Amazonギフト券」というのをもらった。 まったくの「棚からぼた」で、降って湧いた「あぶく銭」というやつだ。 せっかくなので、普段はしないような使い方をして景気良くパーっと散財しようと思ったのだが、悲しいかな、根っからの貧乏性なのでできなかった……という記事を書いた。 paperwalker.hatenablog.com で、その3万円分のギフト券なのだが、実は1年以上経ったいまでも「手付かず」の状態で残っている。 欲しいもの(私の場合はたいていだが)がないわけではない。というか、山ほどある。 何度も使おうと思ったのだが、そのたびに「いや、いまここで使うのはもったいない」とか、「『いざ』というときのためにとっておこう」と考えて、結局使わなかった。 どうも私にはそういうふうに考える癖がある。 お金や金券だけでなくポイントなんかもそうで、使わずに貯

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    suoaei 2021/06/20
  • コショなひと - 何を読んでも何かを思いだす

    先日、購読している「日の古屋」のメールマガジン(無料)が配信されてきたので読んでいたら、こんな文章が目に入った。 「コショなひと」始めました なんだか冷やし中華みたいだが、それはともかく、「コショなひと」って何? 実は「コショなひと」というのは、古屋の店主のことらしい。 東京古書組合の広報部がいろいろな古屋の店主を取材して動画を作り、それをYouTubeにあげているというのだ。 古書はもちろん面白いものがいっぱいですが、それを探し出して売っている古書店主の面々も面白い! こんなご時世だからお店で直接話が出来ない。だから動画で古書店主たちの声を届けられればとの思いで始めました。 (「日の古屋メールマガジン第324号」より) これは見なければ! ということで、さっそく視聴してみた。 動画は短いもので4、5分、長いものでは30分ぐらいとまちまちで、10件ほどあがっている。 古書店主と

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    suoaei 2021/06/17
  • 姫女苑(ひめじょおん) - 何を読んでも何かを思いだす

    季節を代表する花というものがある。春なら桜、夏なら向日葵(ひまわり)みたいな。 いまの時期なら、多くの人が思いうかべるのは紫陽花(あじさい)だろうか。 私の場合、この時期の花といえば、なんといっても姫女苑(ひめじょおん)である……といっても、たいていの人はピンとこないかもしれない。 こういう花だ。 なんだ、その辺に生えてる雑草じゃないか、と思うかもしれない。 その通り。この時期よく見かける代表的な「雑草」だ。うちの荒れ放題の庭にもたくさん咲いている。しかも去年に比べて今年はまた一段と多い。 この白い小さな花が咲きはじめると、今年も夏が来るなあという気がするのだ。 このどこにでもある花の名前を知りたいと思ったのは一昨年のこと。 ネットで検索すると簡単にわかった。それを記事にしたのがこちら。 paperwalker.hatenablog.com いままでまったく意識していなかったのに、急にこの

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    suoaei 2021/06/13
  • おいしい顔のためならば - 何を読んでも何かを思いだす

    アニメきっかけで読んだ漫画に雨隠ギド『甘々と稲』(講談社、全12巻、2013-19)という作品がある。 この前の休日に読み返したのだが、やっぱりいい漫画だった。 高校で数学を教えている犬塚公平は半年前にを亡くし、いまは5歳になる娘のつむぎと二人で暮らしている。 ある日二人は、公園で泣きながらお弁当をべていた飯田小鳥という女子高生に出会い、彼女の母親がやっている料理屋の名刺をもらう。 それからしばらくして、娘に雑な事をさせていることに気づいた犬塚は、つむぎにおいしいものをべさせようと先の名刺を頼りに料理屋に行くが、あいにく小鳥の母は不在だった。小鳥は引き返そうとする犬塚をとどめ、自分がおいしいご飯を作ると言う。 しかしどう見ても料理ができない小鳥は悪戦苦闘、どうにかこうにか土鍋のご飯だけ作ることができた。 そのご飯をべたつむぎはーー こんな「おいしい」顔をするのだった。 それを見

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    suoaei 2021/06/05
  • ときには迷子のように - 何を読んでも何かを思いだす

    梅雨の中休みのような天気のいい休日、いつものようにブックオフに行った。 今回行った店舗は家から(バイクで)1時間半ぐらいのところなのだが、この日はちょっと都合があって、家を朝の7時に出なければならず、普通に行っても開店の10時よりぜんぜん早い時間に着いてしまう。なので、途中で適当に時間を潰さなければならない。 しかしこんな時刻に時間を潰せる場所はコンビニぐらいしかなく、無駄に2、3軒立ち寄ってコーヒーを飲んだり立ち読みしたりしたのだが、それでも9時ごろには目的のブックオフの近くまで来てしまった。 さて困った。あと1時間潰さなければならない。もういいかげんコンビニにも飽きたし。 そこでふと、ブックオフを通り過ぎて、その「先」に行ってみようと思った。 この店舗に限らず、ブックオフに行ってもその近所を見てまわることはほとんどない。目的は常にであり、その目的以外のことに時間を費やす余裕はない。

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    suoaei 2021/05/31
  • 絵葉書を読む(その7) 関東大水害 - 何を読んでも何かを思いだす

    『絵葉書を読む』第7回。今回の絵葉書はこちら。 『(明治四十三年八月東京大出水之実況)所割下水附近』 明治43年8月中旬。 梅雨前線と2つの台風の影響により、関東地方は集中豪雨にみまわれた。 この豪雨によって、関東地方全体で死者769人、行方不明者78人、家屋の全壊または流出は5000戸以上という甚大な被害が出た。東京府だけでも約150万人が被災したという。(Wikipedia参照) 上の絵葉書は、豪雨後の東京府所の様子を伝えている。 「割下水(わりげすい)」というのは道路の中央に造られた掘割のことで、江戸時代の初期に造られた。下水といっても生活排水を流すためのものではなく、雨水を効率よく川に逃がすためのものだ。幅はおよそ一間(けん)から二間〔約1.8m〜3.6m〕ぐらい。(ちなみにこの所の割下水があったところは、現在では「北斎通り」という道になっている) 絵葉書には「割下水附近」と

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    suoaei 2021/05/27
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