東京電力福島第一原発事故をきっかけに、テレビは放射能汚染をどう伝えればいいのか、そもそも原発とどうかかわってきたのか-を問う動きが相次いでいる。 テレビ報道が被災住民の対立や分断をもたらしていないか-。NHK放送文化研究所が都内で開いたシンポジウム「メディアは福島にどう向き合うのか」ではメディア関係者の苦悩が、にじみ出た。シンポの主なテーマは放射能の状況や、そのリスク、住民の選択をいかに伝えたかである。 福島から避難する被災住民、そして残る住民。同じ地域で生活してきた人々を対立させないように報道するにはどうしたらいいか、パネリストのテレビ人は一様に深く悩んだという。メディアは多角的に伝えようと両論併記をしがちだったが、「かえって住民の対立を招く」と評論家の武田徹さん。リスクの有無にかかわらず「個々の自己決定の尊重を」と提起した。