これほどの疑惑を抱えたままでは「不動の同盟国」と胸を張ることなど到底できない。 内部告発サイト「ウィキリークス」が暴露した米国家安全保障局(NSA)による日本の政府、企業への電話盗聴疑惑である。 日米安保体制が極めて重要だからこそ、重く受け止めねばならない。 真相は今もやぶの中である。国民が不信感をもつのは当然だ。疑惑解明は急務で、盗聴が事実なら米国の謝罪や再発防止の確約を取り付けるべきだ。 にもかかわらず、政府は腰が引け、米国の誠実さは足りないように見える。国家の主権や同盟の安定性にかかわることを十分認識しているのだろうか。 告発サイトによると、NSAは少なくとも平成18~19年ごろから日本への盗聴を行っていた。経済産業相や日銀総裁ら要人、内閣官房、三菱商事など35カ所の盗聴対象リストが明らかにされた。 盗んだ情報で作ったとされる報告書によれば、19年の安倍晋三首相の訪米に際し、気候変動