苦難の中での、建国記念の日となった。 新型コロナウイルスの収束はなお見通せない。そんなときだからこそむしろ、国の成り立ちに思いをはせ、国とは何なのか、改めて考えたい。 この日、初代天皇である神武天皇が即位したとされる。明治初めに紀元節という祝日となった。長い歴史を持つ国に生きている幸せを、思わずにいられない。 新編日本古典文学全集「古事記」の記述では、神武天皇と兄は「何地(いづく)に坐(いま)さば、平(たひら)けく天(あめ)の下の政(まつりごと)を聞こし看(め)さむ」と相談し、神武東征が始まった。国を穏やかにするためである。 そうした国の子孫として、日本人は幕末の外圧にも、先の大戦の敗戦という国難にも耐え、豊かな国を築いてきた。誇りとすべき先人の歩みだろう。 ただ、その後の日本が先人に恥じない国を造り得たかといえば、「いまだ至らず」と言わざるを得ない。新型コロナウイルスへの政府対応の鈍さを