「軍艦島」として知られる端島(はしま)炭坑(長崎市)など「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録が決まった。 登録は、非西洋の国で初めて近代化を達成した日本の歩みを伝える意義がある。8県23施設の関係者の喜びは大きい。 だが、決定をめぐり大きな禍根を残したと指摘せざるを得ない。遺産の意義とは無関係な朝鮮半島出身者の「徴用工」をめぐり、政府が、「一部の施設で強制労働させられた」という韓国側の主張への配慮を示したためだ。 安倍晋三政権として、韓国政府の史実を踏まえない要求に譲歩したことは否めない。歴史への不当な介入を許してはならない。 国連教育科学文化機関(ユネスコ)の委員会で、日本大使は、一部の施設について「1940年代に朝鮮半島などから多くの人々が意思に反して連れてこられ、厳しい環境で労働を強いられた」と述べた。「被害者を記憶にとどめる情報センター」を設置することも表明した。 だが、韓
中学公民教科書をめぐり、沖縄県竹富町で法律が定める採択ルールを無視した教科書が使われ続けている。これに対し、文部科学省が地方自治法に基づき、最も重い是正要求の指示を出す方針を決めた。 違法状態は2年に及んだ。公正さを求められる教科書採択のルール無視は、これ以上看過できないとの判断は妥当なものだ。 市町村の法令違反の場合、国は都道府県に対して是正要求を行うよう指示する。過去2例あるだけで教育行政では初めてという極めて重い措置だ。国が責任を持って早急に正すことが、教育への信頼につながる。 問題は一昨年夏にさかのぼる。石垣市と竹富町、与那国町の3市町の教育委員会でつくる八重山採択地区協議会は、育鵬社の教科書を選ぶ答申を出した。しかし、竹富町教委は従わず、東京書籍の教科書の採択を強行し、昨年4月から町民からの寄贈の形で使用を続けている。 これは、義務教育の小・中学校教科書を無償配布するための教科書
歴史認識をめぐる問題も参院選の争点だ。 日中、日韓関係が安倍晋三政権になっても冷え込んでいることが問題視されているが、関係改善を焦るあまり、中韓両国の思惑に引きずられない姿勢が必要だ。 安倍首相(自民党総裁)はテレビ討論などで「それぞれの国がそれぞれの歴史に誇りを持っている。互いに尊重し合うことが大切で(歴史問題を)外交カードに使うのは間違いだ」と主張している。国の指導者として、当然の認識だ。 野党の多くは首相を批判している。民主党の海江田万里代表は「首相はいろんな国を回ったが、肝心の中国、韓国とまだ会談が行われていない」と指摘した。細野豪志幹事長も「首相は村山談話、河野談話の見直しに言及した。談話を尊重しながら具体的な外交に入るべきだ」と述べている。 他の野党も「歴史修正主義をかざしたら、日本は絶対負ける。(対)中韓外交の基本はそこだ」(渡辺喜美みんなの党代表)、「国際的に孤立を深めてい
安倍政権の歴史認識が波紋を広げています。アジア諸国のみならず、最大の同盟国たる米国からも募る懸念の声を、どう受け止めるのでしょうか。
サンフランシスコ講和条約の発効から61年の今年4月28日を「主権回復の日」とし、政府主催の式典を開くことが閣議決定された。式典には、天皇、皇后両陛下も出席される。 敗戦国の日本が占領体制から脱し、独立を回復した日である。この事実を思い起こし、国際社会での日本の責任ある貢献の意義を再確認しようという安倍晋三政権の姿勢を評価したい。 主権とは、自国の意思で国民や領土を統治するという国家が持つ絶対的な権利を意味する。近年、日本の主権を脅かされる深刻な事態が国の周辺で起きている。 日本固有の領土である尖閣諸島の奪取を狙う中国は、領海、領空侵犯に加え、今年に入り、中国艦が海上自衛隊の護衛艦に危険なレーダー照射を加えてきた。 民主党政権は尖閣諸島を国有化したものの、沖縄県の無人島で予定されていた日米合同の離島奪還訓練をやめさせたり、中国艦を警戒する海自艦艇の行動を控えさせたりして、中国に過度の配慮をし
日韓併合談話 未来志向の両国関係に弾みを(8月11日付・読売社説) 政府は、日韓併合100年の「首相談話」を閣議決定した。 談話は「植民地支配がもたらした多大の損害と苦痛」に対し「痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ち」を表明した。戦後50年に当たる1995年に発表された村山首相談話の内容を踏襲したものだ。 三・一独立運動にも言及し、韓国の人々は「その意に反して行われた植民地支配」により「民族の誇りを深く傷付けられ」たと、踏み込んだ表現も盛り込まれた。 補償問題には一切触れられておらず、この問題を決着済みとする従来の政府の立場に変更はない。当然のことだ。 その上で、未来志向の日韓関係の構築を強調するなど、妥当な内容と言えよう。 菅首相から電話で談話の説明を受けた李明博大統領は、「より強い協力関係を築くことが出来る」と歓迎の意向を示したという。 1965年の日韓基本条約締結の際、日韓両政府
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く