【国会議員に読ませたい敗戦秘話】文芸評論家・小川榮太郎 歴史を知ることからしか真の自立の機は掴めない〜「敗北」を超克するために 周到で静かでありながら、歴史を生きた人々への深い思いのこもった語り口。自虐-自尊という対立図式を越え、いかなるイデオロギーにも加担しないリアリズム。--見事な史書の誕生である。それが1人の著者による作品ではなく28人の記者諸氏の分担執筆だという。驚きであり、歴史をこういう風に見、語ることのできる世代がようやく登場したかという意味で、私の喜びは深いのである。 話題は多岐にわたる。東京裁判、マッカーサー、吉田茂らに焦点を当てた1章、安保改定が実質上ソ連の工作によって騒擾(そうじょう)化した経過を丁寧に再現した2章、沖縄の独立と基地問題も同様の工作によってむしろ返還直前に歪曲され、今日まで長期化した歴史をたどる3章は、現在に至るわが国最大の争点が、いずれも国際的な謀略に