腹回りを測って生活習慣病の予防を目指す特定健診・保健指導の開始から、今月で10年を迎えた。メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の発見が目的のため「メタボ健診」と呼ばれる。肥満者だけに指導する健診は、導入時から課題を指摘されてきた。だが、開始10年に合わせた見直しでも肥満中心の枠組みは変わらなかった。「科学的根拠に基づく政策」とは言い難い状況の公的健診が、このまま続くことは問題だ。 メタボは、内臓脂肪が腹部にたまった人は心筋梗塞(こうそく)や脳卒中など心血管疾患を起こしやすいという考え方。健診は40~74歳を対象に、腹囲(男性85センチ以上、女性90センチ以上)か体格指数(BMI25以上)が基準を超える「肥満」があり、さらに血圧、血糖値、血中脂質が基準値を上回る「危険因子」を持つ人に保健指導を実施する。肥満でなければ、危険因子があっても保健指導の対象にはならない。