「帰ってきた」のではなく「はじまった」 2022年も終わろうとしているけど、今年の音楽を振り返ると、むしろ「はじまった」という感が強い。確かに、サマソニ、ミナホ、レディクレと大型フェス、サーキットイベントには軒並み参加したし、ライブを見に行くという点ではすごく充実していた。ただここで「はじまった」というのは、コロナからの行動制限緩和によって様々なエンタメが再開されたということだけでなく、昨年の音楽まとめ記事にも書いた、新世代、新ジャンルへの入れ替わりが進んだということでもある。 とりわけ印象的だったのは、いわゆる「ラブソング」でない曲の存在感だ。世界的に見ても若い男女の恋愛を歌った楽曲はスタンダードでなくなりつつあるし、アーティストに求められるものも、感情の代弁ではなく自己啓発になっていると思う。誰かの背中を押したり勇気づけたりすることが音楽の重要な役割であるような、そういうトレンドはしば