青木──2004年、蔵屋さんはロンドンに研修に行かれました。その間、蔵屋さんは、メールで知人や同僚に向け何本もの「通信」を発信されていて、僕もそれをとても興味深く読ませていただきました。日本とイギリスの美術環境がどう違っているか、ということを知ることは、いまの、というよりも、これからの日本の美術環境を考えていくうえでとても面白かった。そこで今日は、蔵屋さんがロンドンで間近にご覧になったことを中心にお聞きしたいと思っています。蔵屋さんの研修先はホワイトチャペル・アート・ギャラリーとエンゲージでしたね。それはご自身の選択だと思いますけれど……。 蔵屋──そうです。2004年の9月1日からいま年2005年の3月5日まで、文部科学省在外研修員としてロンドンに滞在して、ホワイトチャペル・アート・ギャラリーと、美術館の教育普及活動を推進する団体であるエンゲージ(engage)で研修を行ないました。エン