昭和は過ぎ、平成も終わり、時代はもう令和。かつて権勢を誇った“おっさん”は、もういない。かといって、エアポートで自撮りを投稿したり、ちょっと気持ちを込めて長いLINEを送ったり、港区ではしゃぐことも許されない。おっさんであること自体が、逃れられない咎なのか。おっさんは一体、何回死ぬべきなのか――伝説のテキストサイト管理人patoが、その狂気の筆致と異端の文才で綴る連載、スタート! 【第70話】サイゼリヤのイカリ 大阪、梅田。言わずと知れた関西の中心地だ。そこから伸びる東通り商店街、そこからさらに少し外れた場所、そこにはいくつかのオフィスビルとラブホテルが建ち並んでいた。そんな場所をトボトボと歩く僕の姿があった。 その日はこの日刊SPA!連載「おっさんは二度死ぬ」の締切日だった。 大阪にいようがロシアにいようが、世界中どこにいようが変わらずやってくる、それが締切りだ。本当にロシアの空港で書く