前回、フォルクスワーゲンの新たなクルマづくり、すなわちパワーパッケージや装備類だけにとどまらず、車体骨格まで「モジュール化」に近づけた「MQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス:横置きパワーパッケージ中核車種群のモジュール化)」と、その技術企画の根幹にある製造プロセス全体のリニューアルが意味するもの、そしてそれがまさに進行しつつある現場を見てきた話をお届けした。 しかし考えてみれば、それに対比すべき日本車の技術面の現状と、日本の自動車生産の現場の状況を把握していなければ、私が現地で「立ち遅れる日本自動車産業」に思いを巡らせたことの中身は伝わらない。これまでこのコラムで何度も取り上げ、語ってきたところも多いのだけれども、ここで一度要約しておこうと思う。 「古色蒼然」という印象のオーリス、クラウン 日本のクルマづくりの現状を知るための例として、最近現れた「新型車」の中から、まずオーリス