幕末の権力者・井伊直弼の若き日の切ない恋から物語は始まる。井伊家の十四男として生まれた直弼には、もともと家督相続の目はなく、江戸に出て就職活動ならぬ、養子の口探しに精を出していた。その時に、たまたま見かけた南津和野藩主の美しき側室・美蝶に一瞬で恋してしまう。しかし、ニート青年の横恋慕などかなうはずもなく、養子の口も見つからぬまま、失意のうちに国元・彦根に戻され、300俵の捨扶持を貰い、引き籠り生活を強いられることになった。 ところが、兄たちが早世したために、直弼は35歳になって彦根藩主の座に就く。権力を手に入れたことで、若き頃の鬱屈した思いが一挙に爆発。実らなかった恋を取り戻すべく、美蝶の娘である美雪姫を51人の藩士と共に陸の孤島のような場所に幽閉し、側室になることを迫る。 そして、そこから、美雪姫と藩士たちの「大脱走」劇が始まる! 井伊直弼のプロフィールは史実の通りだが、美雪姫の幽閉とそ