兵庫県洲本市で平成27年3月、男女5人が刺殺された事件で、殺人などの罪に問われた無職、平野達彦被告(42)の裁判員裁判の初公判が8日、神戸地裁(長井秀典裁判長)で開かれた。平野被告は「本当の被害者は私。工作員に脳を支配され、殺害するよう強制された。完全な冤罪(えんざい)だ」と起訴内容を全面否認。弁護側は「被告の言っている通りならば、病的妄想に支配されていることは明らか」と述べ、刑事責任能力を争う姿勢を示した。 公判は3月22日の判決宣告までに計12回開かれる予定。被告は精神疾患のため事件前に措置入院しており、責任能力を最大の焦点に、検察側と弁護側が全面的に争うことになる。 検察側は冒頭陳述で、平野被告が22年にインターネットの会員制交流サイトを利用して犠牲者の親類を中傷し、名誉毀損(きそん)容疑で逮捕されたことに言及。被告が「復讐(ふくしゅう)に一部成功」とネットに書き込むなどしていたこと