昨年6月、走行中の東海道新幹線で男が焼身自殺し、乗客の女性が死亡した火災で、運輸安全委員会は30日、事故調査報告書を公表した。 報告書では、乗客がデッキに滞留したため、避難が遅くなり、負傷者が拡大した可能性があると指摘。そのうえで、「乗客が速やかに避難行動を起こすための取り組みが必要」と提言した。 報告書によると、車内の防犯カメラの映像には、出火直前、避難途中の複数の乗客がデッキに立ち止まり、スマートフォンで客室内を撮影しようとするなど、速やかに避難行動をとらなかった様子が映っていた。 こうした状況を踏まえ、運輸安全委は「乗客は火災の発生や影響範囲を想定できず、多数の負傷者が被害を受ける前に避難できなかった」と指摘。鉄道事業者に対し、啓発を求めるとともに、乗務員が火災発生時に避難誘導を行うため、「防煙マスクや耐火手袋などを乗務員室に搭載することが望まれる」と提言した。