井上ひさしの『東京セブンローズ』にこんな場面があります。 《「何日の新聞でもいいが、たとへば十二月十五日の朝日の第一面、ほら、ここ。一段二十行が真っ白だ。どうしてこんなことになつたと思ひます?」 「検閲でせう」 「その通り。GHQの民間検閲支隊の神経に引つ掛かるやうな記事が載つてゐたんでせうな」》(原文は旧字) 昭和20年8月15日、日本は敗戦を迎えました。その後、GHQは日本を“民主的な国”にするべく、さまざまな統治政策を行います。 でだ、占領政策で非常に重要な役割を担っていたのが、民間検閲支隊(CCD=Civil Censorship Detachment)による徹底的な検閲です。 その根拠とされたのが、「日本放送遵則」(最高司令官指令=SCAPIN-43/9月22日付)と「日本新聞遵則」(SCAPIN-33/9月21日付)。 まずは「日本新聞遵則」の全文を公開しときます(江藤淳『閉さ