大規模なプラントは多くの機能が相互に複雑にからみあっているものだ。だから、包括的、システム的な観点が重要で、一箇所だけに注目してモノを言ってもたいてい的外れになる。また、理論と実際は違うので、長い経験で蓄積された工学的な視点がないと、その分野の専門家であっても適切な批判はできないものだと思う。 しかし、原発の冷却機能が停止した時の挙動は、例外的に単純だ。 使用済み燃料が発する崩壊熱の熱量は、原子核の反応なので、攪乱要素がほとんどなく相当な精度で事前に予測できる。つまり、全電源遮断から何分でメルトダウンするかは、難しいことをあれこれ考える必要がなく、単純な方程式で確実に予想できることだ。 ということは、原発の発電機が止まるというのは、直感に反して大変な事態であり、これにかかわる問題は、他の何を置いても早急に対処すべきことである。 福島第一は、地震や津波がないアメリカの設計を流用したので、非常