私は中東のエルサレムで戦後70年を迎える。どこに目を向けても戦争や紛争が日常の風景になっている中東。ここから日本を見ると、70年間、一度も戦争をしなかった国があるなどとは信じられない。逆に平和と繁栄が当たり前の日本から見れば、中東ははるか遠い世界であろう。しかし、日本はかつてアジアの国々を侵略し、国際社会と対立した軍事国家だった。いま中東で歯止めなく武力や暴力を行使する政府軍や過激派の姿は、かつての日本の姿でもある。 Photo by 特輯満洲事変大写真帖 私は長年、中東でジャーナリストとして働き、暴力が暴力を生むという負の連鎖をいやというほど見てきた。米国が始めたイラク戦争は、その最たるものである。世界最強の軍隊が8年間の「対テロ戦争」で4400人の兵士を失った。戦争の巻き添えになったイラクの民間人の死者は公表された集計で15万人。50万人以上という推計もある。戦争はさらに血みどろの宗派