第3回:探究 7. 線状アンテナの理論 これまで主にアンテナの実際について述べてきたが、ここで少し理論の歴史について触れてみるのも意味があろうと思う。へルツが初めて電磁波の検証実験に成功して間もなく、ポックリングトンは細い導線に沿って流れる電流は近似的に光の速度で伝搬すること、そして電流は正弦波分布をしていることを理論的に示した(1897年)。これは重要な理論的な発見であった。線状アンテナの理論は始めにそのような電流を仮定し、その電流自体が作る電界に抗して電流が流れるために必要な複素電力からアンテナのインピーダンスを計算する方法が用いられた。 この方法は起電力法と呼ばれていて、現在でも十分に細い線状アンテナの近似的な計算方法として広く便利に用いられている。 ハレンは、ある有限な太さを持つ有限な長さの円柱アンテナに流れる電流について、それが作る電界がアンテナの表面での境界条件を満たすような積