金融庁と東京証券取引所で策定したコーポレートガバナンス・コードが6月に施行された。社外取締役を導入した上場企業は9割を超え、ROE(株主資本利益率)を経営目標に掲げる企業が増加するなど、日本企業の間で企業統治に関する関心や機運が高まっている。一方、OECD(経済協力開発機構)では、2004年に改定したコーポレートガバナンス原則の2回目の見直し作業を進めており、この9月にもとりまとめられる予定だ。 世界各国のコーポレートガバナンス事情や議論はどう展開しているのか。このほど来日したOECDの玉木林太郎・事務次長に尋ねた。 ――OECDのような国際機関がなぜコーポレートガバナンスの充実を説いているのでしょうか。 OECDはIMF(国際通貨基金)や世界銀行のように、お金を貸す機関ではなく、平和や安全保障、外交分野を除いたすべての公共政策を手がけている。公正取引委員会や消費者政策委員会のようなテーマ