ここで、上でちょっと触れた「賽本引」と「手本引」について少し踏み込んで説明しておこう。 近代の日本に起こった新種のカルタ賭博として、「賽本引」と「手本引」がある。両者についてはウィキペディアに詳細な説明が掲載されており、基本的にそれの活用を勧める。したがって、ここではウィキペディアが書き洩らしている点を補足するように説明するにとどめたい。 まず、「賽本引」と「手本引」の発祥の時期であるが、明治年間に研究を深めた尾佐竹猛の「加留多賭博の三大系統」では、カルタ賭博として「メクリ系統」「カブ系統」「花加留多系統」とある中の「カブ系統」の横に「賽……オッチョコ(賽本引)(大阪、奈良)」とあり、「現今関西に行わるるオッチョコ(賽本引)はカブに賽の加わったので将来益々盛んになりそうであるからこれまたカブ系統に加えてよかろう」[1]とするが「手本引」には言及されていない。明治後期に関西で、まず「賽本引」