【伊藤和行、中村信義】仕分けや配達時のずさんな温度管理が発覚したヤマト運輸の「クール宅急便」。ヤマト関係者は本社が定める作業手順が「現場の実態に合っていない」と問題の背景を語る。「時間指定」などの顧客サービスも重い負担になっているという。 中元時期の7月の昼ごろ、東京都内の営業所に勤める男性が、配送車の荷台から取り出したクールの荷物はぬれてぐにゃりと曲がった。「溶けてるな」と感じたが、水滴を拭いてごまかし、届け先に運んだ。繁忙期は荷物が増え、冷蔵・冷凍庫からあふれ出す。「夏でも庫外に置くのは当たり前。溶けるのも仕方ないという感覚だった」 本社のルール通り、保冷剤を配送車に持ち込み、庫外にあふれ出たクールの荷物のそばに置いたが、冷やすには不十分だった。男性は「本社の考えは矛盾している」と話す。