江戸期からコロナ禍の現在に至る疫病対策の歴史を振り返る企画展「疫病と向き合う人びと」が、埼玉県の八潮市立資料館で開かれている。現代のコーナーでは「アベノマスク」も史料として展示されている。 新型コロナウイルスへの対策が日々続くなか「先人たちの足跡に光を当てよう」と、学芸員の柴田愛さんらが史料を集めた。 はしかや疱瘡(ほうそう、天然痘)などの疫病にたびたび見舞われた江戸時代。人びとは病原体がわからず、まじないや祈禱(きとう)が頼りだった。稲わらを使って大きな蛇を作る「蛇ねじり」は、古くから今に伝わる疫病退散などを願った行事で、会場にはわら蛇の実物が展示されている。 明治時代には「三日コロリ」と呼ばれたコレラの流行が脅威に。旧潮止村の記録では1889(明治22)年、病よけの祭礼で振る舞われた赤飯が原因で多くの感染者が出たとされている。翌年には家族に伝染しないよう、複数の寺院を隔離所として患者を